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長新太 作・絵「ノンビリすいぞくかん」 [●PICTURE BOOK]

初版 1979.01 理論社刊

もしかしたらほんとうに
サカナたちはこっそり水族館を抜け出して
空をすいすい泳いだり、くつろいだり
野球を見たりしているのかもしれないんだよ

[text●h.mariko]

私はいまになってもまだ、「夢見がちだねえ」と、友達や親しい人に言われることが多い。
それは物語に没頭しているときの集中力だったりとか、映画を観たり音楽を聴いたりしてすぐ泣いちゃうところだったりとか、空想力のぶっ飛び方だったりとか、そういうところに由来しているのだと思うけれど、この本を愛しながら育ったからなんじゃないかなあ、と最近、自分を分析したりするのだ。

タツノオトシゴくんが、高級ホテルのフロントに電話をして、オムレツとか、オレンジジュースとか、ゴチそうをたらふく食べている姿。なんとも裕福そうで、くつろいでて、優雅な感じ。

カワハギくんがジェットコースターに乗って絶叫マシンを堪能していると、カワハギだけに皮が剥がれちゃって、後ろの人が「ブワハ、ハチャハチャ、ブワハ、ハテナ?!」って、驚いている姿。それを迷惑そうに見てるカワハギくん。

おそば屋さんでトウガラシを入れすぎて、辛すぎて目が飛び出しちゃった、エビのおばあさん。腰が曲がっちゃったのはもともとなんだけど。

新幹線を観に行ってみたくて線路で待ち伏せしていたら、その恐い姿に新幹線が急停止しちゃって怒られるウツボくん。そのあと、罰として切符を口でガリガリ切らされている、迷惑そうな顔のウツボくんは、ちっとも恐そうじゃない。

野球観戦に行ったらざぶとんと間違われておじさんに座られちゃった上、喋りかけたら驚かれてぶん投げられて、王選手のホームランボールに頭をぶつけてこぶをつくっちゃうヒラメくん。

幼かった私は、このあたりまえの世界にどっぷりはまりこんで、サカナたちと一緒にのんびり、いろんな体験をしたのだった。
水泳は苦手だったし、空も飛んだことないけれど、楽しいって思うことはなんでもできちゃうものなのだ。特に、空想のなかでは。

ところが。この、設定。
どれもこれも、本来にはありえないわけで。
だって、水棲の生き物が「水族館を抜け出して」、「人間と同じようにご飯を食べたりして」、「飼育員さんと同じ言葉を話して」、
いやいや、ないでしょ、そんなこと。そうやって考えるのが、通常の、オトナの、意識、みたい。

でも、でもだよ、もしかして、あの綺麗な水族館の水槽からこっちを見ているサカナたちは、
「にんげんはわざわざおかねをはらってまでぼくたちの生活をみにくるなんて、なんてひまなんだろうねえ」
「ほんとうだねえ、ほら、あっちのにんげんはとなりのすいそうのタコくんに似ていないかい?」
「おやおや、ほんとうだ。もしかして、親せきかもしれないねえ」

なんて、話し合ってるかもしれないんだよ。
にんげんには分らないだけで、夜中にはこっそりと水族館を抜け出して、空をすいすい泳いで、くつろいだり野球を見たりしているのかもしれないんだよ。
わたしたちが知らないだけで、そんなの、サカナのせかいじゃ、あたりまえのことなのかもしれないんだよ。

そういう夢を見させてくれるこの作品。
最初に手に取ったときから随分と年を取ったけど、わくわくする感覚はまだまだ衰えていない。想像力を磨きたいとか、童心に返りたいとか、幼い友達にプレゼントしたいとか、本当にいろんな人にめちゃめちゃ、おすすめなのだ。

ノンビリすいぞくかん (理論社のようねんどうわ)

ノンビリすいぞくかん
理論社のようねんどうわ

  • 長新太 作・絵
  • 理論社
  • 1996/02
  • 単行本





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レオ・レオニ作「フレデリックーーちょっとかわったのねずみのはなし」 [●PICTURE BOOK]

初版 1987.03 好学社刊

それぞれに特技ってものがあって、それを活かしていれば
きっといいことがあるんだよ、って教えてくれるような物語は
仕事に疲れたりした大人のほうがよっぽどぐっとくる

[text●h.mariko]

私が生まれたときから、いや、生まれる前からだったのだろう、我が家にあった絵本なのである。
私の兄が読み、私が読み、今は兄の娘が読んでいる。
名作というのは、こういうふうに語り継がれるのか、と思っている最中である。

私はしばらく直接にお世話になることがなかったこの作品、
つい最近、ものすごく、直接的に、ときめいてしまったのだ。
さまざまなプリントTシャツを販売しているお店にふらりと立ち寄ったとき、
目に入ったのは、この「フレデリック」のねずみを印刷したTシャツだった。
まだ音楽フェスの季節にはちょっと早いけど、今年のフェス用にと早速1枚購入した。とても可愛くて、とても気に入っている。

子どものころは、フレデリックが可愛くて、絵柄のほんわかとした優しさが好きで、よくこの絵本を開いていた。
絵本に添えられた言葉は、ただの「解説」みたいなつもりで、あまり深く考えずに読んでいた、気がするのだ。

それが、姪っ子にせがまれて一緒に読んでいたとき、ふと気がついた。
絵本、というか、子供向き、というよりも「ちょっと疲れた人向き」のような気がするのだ、この絵本。

あたたかなイラスト、フレデリックの立ち位置。
何もない、寒い冬を凌ぐ方法。
お腹いっぱい食べる事も必要だし、幸せだけど、
人を感動させることって、けっこう、すごいことなんじゃないか?

それぞれに特技ってものがあって、それを活かしていれば、きっといいことがあるんだよ、って教えてくれるような物語は、仕事に疲れたりした大人のほうがよっぽどぐっとくるんじゃなかろうか。

Tシャツを着て、フレデリックの言葉を見つめながら、私の生活もこんなふうに潤ったらいいなあ、と思ったりするのだ。

フレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなし

フレデリック
―ちょっとかわったのねずみのはなし

  • レオ・レオニ作
  • 谷川俊太郎訳
  • 好学社
  • 1969/04/01
  • 大型本

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レオ・レオニ作「おんがくねずみ ジェラルディンーーはじめておんがくをきいたねずみのはなし」






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レオ・レオニ作「おんがくねずみ ジェラルディンーーはじめておんがくをきいたねずみのはなし」 [●PICTURE BOOK]

初版 1980.04.01 好学社刊

絵本は空想を育てるとか、子どものためのものだとか
そんなふうにいわれがちだけれど、大人になった人にもぜひ
この絵本を手に取ってもらいたい

[text●h.mariko]

音楽を聴いていて、“絵を、見た”ことが、ありますか?
または、
音楽を聴いていて、“色が、見えた”ことが、ありますか?

私は、あります。
しょっちゅうです。

それはたとえば、ライブに行って、照明の色が印象的だった、とか、
そういうことじゃなくって、私が音楽から自由に感じ取った、
“絵”や“色”、なのです。

そんな私は、ジェラルディンとは、
いい友達になれそうだな、って、思うのです。


ジェラルディンは、大きなチーズを見つけて、仲間と一緒に食べています。
そうしたら、チーズの中から見たこともない大きなねずみの姿が。
そのチーズねずみは、自分のしっぽを口にあてて、
横笛みたいにくわえているのです。
ジェラルディンは、音楽を知りません。
だから、チーズねずみは、何をしているのだろうと
たくさんおもいをめぐらせます。

私がこの絵本と出合ったころ、
ちょうどフルートというおともだちと出合ったばかりだったのです。
フルートは銀色の横笛です。
まるで、チーズねずみがもっている笛そっくりじゃありませんか!
幼い私は、どきどきしました。
絵本と同じ音が、この本から、聴こえるかもしれない!

そうして私は、この絵本を読みながら、
七色の光と、美しい音色を、ジェラルディンとともに楽しんだのでした。
あのときに見えた音楽がキラキラしながら飛び出してくる姿は、
忘れられません。

あれから、もう20年以上経ちました。
でも、あのころのように、私はこの絵本を開くたびに、
フルートの鈴のような音色と、
その音が輝く虹のような光を、
いまだに耳に、目にするのです。

絵本は空想を育てるとか、子どものためのものだとか、
そんなふうにいわれがちだけれど、私は大人になった人にもぜひ、
この絵本を手に取ってもらいたいな、と思うのです。
大人になってからは凝り固まってしまったかもしれない力が、
ふっと緩んだり、解けたりするのを
手伝ってくれるんじゃないかな、って思うのです。


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斎藤隆介 作、滝平二郎 画「モチモチの木」 [●PICTURE BOOK]

初版 1981.07.21 岩崎書店刊

大人になっても読むたびに
なんだか試されているような気持ちになってしまう
豆太が勇気を振り絞ったときに見た別の世界は
いったい何を暗示しているのだろうか

[text●h.mariko]

斎藤隆介と滝平二郎、このおふたりの名前を忘れていても、この切り切り絵を見て、“あ、知ってる!”“小学校の国語の教科書で見た”という人は多いのではないだろうか。さまざまな物語を、絵本というわかりやすい形で伝えてくれ、かつ美しい切り絵は、“どこをどうやって作ったのだろう?”と思う程精巧にできていて、どれも見るたびうっとりとしてしまう。

さて、そしてこの「モチモチの木」である。
臆病で、ひとりで雪隠(せっちん)にも行けない、豆太。優しいジサマに甘えっぱなしで、夜に小便をしたくなったときも、ジサマを起こして、一緒に行ってもらうほどの、小心者。雪隠の前には、“モチモチの木”という、大きな木がある。その木は、豆太にとっては、昼間はなんでもない存在でも、夜はお化けのように怖い存在なのだった。
そんなある日のこと、夜中にジサマが苦しみだす。医者を呼んでくれ、と豆太に頼む。だが、医者への道のりは遠く、半里離れた麓の村。道は暗く、積もった雪で足が痛い。だが、大好きなジサマのために、豆太は走る・・・。

絵本の存在意義とは、なんであろうと、この作品を手に取るといつも思う。たとえば、今はトイレと呼ぶのがすっかり普通となった雪隠。そして家の中にあるのがあたりまえだが、昔は家の外にあった。まげ姿で着物を着た豆太もジサマも、違和感がない。そんな格好をした人、今では、相撲取り以外に見かけることは、ほとんどない。でも、この物語の持つ大きな力の前には、誰もが虜になってしまうと思うのだ。

子どものころ、私がこの作品を読んだときは、ちょっと、試されているような気持ちになった。だって、大好きな人が苦しんでいるとき、自分が恐いめに遭ってでもその人を助けられるだけの勇気を持っているのか? と考え込んでしまったからだ。そうして、自分が豆太よりもジサマの年に近づいた今読み返してみると、この作品はそういった“勇気とやさしさを讃える”だけの本ではないと気がつく。豆太が勇気を振り絞って夜中の道を駆けたのは、たった一度、その後もけっきょく“恐がり”なのは直らない、けれど、そのときに見た“別の世界=モチモチの木が見せた美しい姿”は、いったい何を暗示していたのだろうか・・・。大人になってもまだまだ、なんだか試されているような気持ちになってしまうこの作品を、ことあるごとにじっくり眺めてみようと思う。

モチモチの木 (創作絵本 6)

モチモチの木

  • 斎藤 隆介作/滝平 二郎画
  • 岩崎書店
  • 1971/11/21
  • 大型本

モチモチの木 (ビッグ・えほん)

モチモチの木
(ビッグ・えほん)

  • 斎藤 隆介作/滝平 二郎画
  • 岩崎書店
  • 2002/04
  • メディア: 大型本

The Tree of Courage―モチモチの木(英語版) (R.I.C.Story Chest)

The Tree of Courage
モチモチの木 英語版(R.I.C.Story Chest)

  • 斎藤 隆介作/滝平 二郎画
  • アールアイシー出版
  • 2007/06
  • 大型本




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かこさとし作「からすのパンやさん」 [●PICTURE BOOK]

初版 1973.09 偕成社刊

からすの一家は相変わらず可愛い
とても健気。時代やら何やらは関係なく
いいものは語り継がれるのだな

[text●t.minami]

近所のファミレスに、ご飯を食べに出かけた。トイレに行こうと席を立ったら、なにやらちびっ子が、きゃあきゃあ言いながら私を追い越して行く。その手には、見覚えのある1冊の本が。気になる、なんだろう・・・?
用を済まし、子どもたちが騒いでいた棚を覗き込んだ。びっくりした。そこには、お店のサービスなのか、使い古されたふうの絵本がたくさん並んでいたのだ。私を追い越したちびっ子が持っていたのは、幼い私も虜になった1冊だった。
それが、「からすのパンやさん」。

あるカラスの一家が、パンを捏ねてパンを売る。それだけの物語なのだけど、ドタバタコメディみたいなおもしろさがあって、何度読んでも飽きなかった。幼稚園に通っていたくらいの年齢のとき、「大人になったら何になりたい?」というありきたりな質問があった。男の子は「パイロット」「宇宙飛行士」なんて言っている子が多かった気がする。女の子は「ケーキ屋さん」「お花屋さん」のように、華やかさを感じるようなものが多かったように、思う。
じつは、私はこのとき、「パン屋さんになりたい」と答えた。その理由は、「からすのパンやさん」を読んでいたからだ! だって、あの本に出てくるみたいな、たくさんの、いろんな形をしたパンをつくれたら、みんな喜んでくれるし、楽しいだろうし、パンの匂いに包まれた毎日なんて、とってもステキに違いない! と、半ば本気で、思っていた。懐かしい。

こんなオバチャンになってから眺めてみても、からすの一家は相変わらず可愛いし、とても健気でもある。特に、からすのおかあさんと、子どもたち。
たくさんの、買い物客(からす?)も、可愛い。からすといえば真っ黒、なんだか不吉、という印象があるようにも思う。が、それを払拭させてくれるようなカラフルなからすがたくさんいる。そして、服を着ていたり、メガネをかけていたり、とにかく個性的なからすがたくさん描かれているのだ。そんなからすたちを眺めているだけでも、充分楽しい。
そして、からす一家が心を込めてつくる、さまざまなパンがページ見開きでどーんと載っているのは、今見ても圧巻だった。どのパンがおいしそうだろう、私もこれならつくりたい、そんなことを言いながら本を眺めた日々を思い出した。

思えば、たくさんの絵本とともに、私は育ってきた。いつの間にか、絵のない本を読むようになって、本を読んでものを考えるようになって、表現やら言葉やら、難しい漢字などなど、いろんなことに興味を持ちはじめた。
でも、最初は「からすのパンやさん」だったんだな、と思うと、何だか可笑しい。そして、あのファミレスで「からすのパンやさん」を読んでいたあの子どもたちも、パンの匂いや味を考えながらページに魅入っていたのかな、と思うと、時代やら何やらは関係なく、いいものは語り継がれるのだな、と改めて感じている。

からすのパンやさん (かこさとしおはなしのほん (7))

からすのパンやさん

  • かこさとし作
  • 偕成社
  • 1973/09
  • 単行本

からすのパンやさん (ビッグブック)

からすのパンやさん (ビッグブック)

  • かこさとし作
  • 偕成社
  • 1997/05
  • 大型本

Mr.Crow’s Bakery―からすのパンやさん(英語版) (R.I.C.Story Chest)

Mr.Crow’s Bakery
―からすのパンやさん/英語版

  • かこさとし作
  • アールアイシー出版
  • 2007/03
  • 大型本





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ふるた たるひ、たばた せいいち作「おしいれのぼうけん」 [●PICTURE BOOK]

初版 1974.11.01 童心社刊

押し入れという密閉された空間
暗闇という閉塞感、そして恐ろしいねずみばあさん
いたずらっ子“さとしとあき”の勇敢な冒険譚

[text●h.mariko]

不自由なく文字が読めるようになるのに、私はあまり時間を必要としなかった子どもだったらしい。ひらがなカタカナ漢字、どれも。
今でも知らない漢字を見つけると、気になってすぐに辞書で引いてしまうような“文字オタク”なのだが、その片鱗は子どものころから既にあったようだ。幼稚園児だったころ、漢字のお勉強なる時間があり、クラスで唯一私だけが読めた漢字、なんてのもあったのを記憶している。確か、“船”。それ単体で知っていてもしかたがないことなのだが、すごーい、と、もてはやされてテングになっていたのは言うまでもない。
そんなわけで、私にとって、本というのはとっても大切なアイテムのひとつだった。

そして、この「おしいれのぼうけん」が与えてくれたものといったら!

さくら保育園、お昼寝の時間帯。布団を敷いて、さあ寝ましょう、というとき。“さとし”と“あきら”は、ミニカーで遊ぼうと布団の上を走り回る。ふたりを叱る先生。そして、さとしとあきらはおしいれに入れられる。まあ、罰ってヤツだ。
押し入れには、実はトンネルのような道があり、その奥には夜の街が広がっていた。その世界を支配する“ねずみばあさん”。さとしとあきらは、ねずみばあさんとねずみたちに捕まらないため、力を合わせる・・・。

初めて読んだときには、正直、恐かった。押し入れという密閉された空間、暗闇という閉塞感、そして恐ろしいねずみばあさん。いたずらをしたからって叱られて押し入れに入れられるようなことはなかったが、この絵本が強烈すぎて、自然といたずらさえも自粛するくらいのパワーがあったように思う。
だが、この作品で描かれるさとしとあきらは、ふたりで手をとり合い、恐ろしいねずみを操るねずみばあさんに果敢に挑むのである。読んだ当時、ちょっとだけお兄さんだったふたりの勇敢さに、私は惚れ惚れとした。そして、私も願った、同じような冒険をしてみたい、と!

恐怖と好奇心は紙一重である。そのギリギリのラインを踏み越えず、子どもの視線を見失わず、“悪い事はやめましょう”というお説教臭さもなく、爽快な読後感のあるこの作品。
暗闇を怖がらない子どもは少ないと思う。そして、今は“押し入れ”なんてものもだんだんなくなって、“押し入れに閉じ込められる”ということが、なんだかわらない子どももいるかもしれない。だが、夜にコッソリと覗く闇の恐怖は普遍である。今ではどうってことなくなった、夜、ひとりで暗い部屋に入るのも、鏡を見るのも、子どものころは一大冒険であった。それをハッキリ思い出させてくれる。
勇敢な冒険譚のようにも読めるが、友情が描かれているようにも思えるし、年齢を問わず楽しませてくれる絵本だ。

ちなみに、オレンジ色の街灯を見ると、いまでも私は“ねずみばあさんがいる!”と、思ってしまう。

おしいれのぼうけん (絵本ぼくたちこどもだ 1)

おしいれのぼうけん

  • ふるた たるひ、たばた せいいち作
  • 童心社
  • 1974/11/01
  • 絵本


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松岡享子作/林明子絵「おふろだいすき」 [●PICTURE BOOK]

初版 1982.04.30 福音館書店刊
1983年 第30回産経児童出版文化賞美術賞受賞作品

一緒におふろ入ろうかな
それとも、本を読んであげようかな
だっておふろが
大好きになっちゃったんだもん

[text●h.mariko]

私には、4歳の姪っ子がいる。
これがまた、可愛い。どんないたずらをされても、笑顔で許しちゃう。(いや、度が過ぎると、さすがに怒るけど・・・)

そんな彼女の誕生日プレゼントを選んだ。27歳も年齢の差があると、何が欲しいんだかまったくもってわからない。彼女が好きなキャラクターだのなんだのは、ちっとも知らない。いや、そもそも、“プリキュア”が印刷された筆箱とか、使うか? まだ学齢にも達してないのに。

そんなとき、これなら自信を持って勧められる、と思ったのが、絵本。私も、子どものころ、たくさんの絵本を読んだ。そして、絵本のなかでたくさん遊んだ。そのころの楽しい気持ちは、今でもありありと思い出すことができる。

そのなかの1冊である、この「おふろだいすき」。率直で、なんてステキなタイトルだろう!

アヒルのプッカさんと一緒に、おふろに入る“僕”。
プッカさんに先に湯船に入ってもらい、お湯加減を訪ねる。
プッカさんは「あつくもなく、ぬるくもなく、ちょうどいい」と、
なかなかいいお湯判断。
石鹸で身体を洗っていると、
湯船からペンギンが。オットセイが。
果ては、クジラまで! おふろのなかで大はしゃぎ、
動物たちとプッカさんと繰り広げられるおふろ冒険譚。
おふろでもっと遊びたいけれど、
おかあさんの呼ぶ声でおふろから出て、
体を拭いてもらう僕。

あったかい布団で眠るのだろうな、という優しい余韻が残る。

子どもの空想、と片付けたらそれまでかもしれない。でも、このお話、三十路を過ぎた私が読んでも、とってもステキな気持ちになれるのだ。

最近、バスグッズが巷にあふれ、香りや泡、キャンドルなどたくさんの商品を見る機会が多い。そこには疲れを取る、癒しを得る、そんな効果を求めてもいるのだろうが、“遊び心”みたいなものを感じることも多い。ハンバーガーみたいな形の石鹸とか、浴槽がむくむく脹れそうな泡の出るものとか、ワクワクしちゃうではないか。
そして、この作品。子どもの溢れんばかりのパワーは、外で遊んで帰ってきて遊んで、でもまだ遊び足りない! そんな力がみなぎっているようにも思えるし、石鹸ひとつでいくらでも世界をつくりだせる子どもの想像力にも思えるし、子どもの溢れる想像力は浴槽からくじらが出てくることだってあたりまえなんだ、と思わせてくれる、楽しさ。
子どもに読み聞かせしたりするのは勿論だが、自分自身も楽しめること、間違いなし。

ちなみに、絵本をプレゼントしたあとの姪っ子に、気に入った?って聞いてみたら、「おふろが大好きになっちゃったんだもん」だって。今度、一緒におふろ入ろうかな。それとも、本を読んであげようかな。

おふろだいすき (日本傑作絵本シリーズ)

おふろだいすき

  • 松岡享子作/林明子絵
  • 福音館書店(日本傑作絵本シリーズ)
  • 発売日: 1982/04/30
  • 絵本

おふろだいすき―I love to take a bath (R.I.C. story chest)

おふろだいすき
―I love to take a bath(英語版)

  • 松岡享子作/林明子絵
  • アールアイシー出版
  • 2004/12
  • 絵本


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