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Beach House「Teen Dream」 [●DREAM POP]

3rd. album 2010.01.26 release

ひんやりと頬を撫でるオルガンの音色
空間系エフェクターで浮遊感を増幅させるギター
淡い幻想世界が構築されていく

[text●y.yuya]

2000年代後半、ローファイ・サウンドを擁したさまざまなバンドが登場し、皆サーフというテーマの名の下にThe Beach Boys(ザ・ビーチ・ボーイズ)回帰の道を辿っていた。
いわゆるそうしたUSインディー・シーンにおけるローファイ・リバイバルのなかで、ほかとはまったく音楽性の異なるバンドが登場することとなる。それが、2004年にアメリカはボルチモアにて結成されたBeach House(ビーチ・ハウス)である。
90年代前半に、超新星爆発の輝きのように一瞬のブームを巻き起こし消えていったシューゲイザー、そのリバイバルとしてニューゲイザーもしくはドリーム・ポップという冠を称して(そうしたジャンルわけも、ただの呼び名にすぎないのであまり深くは追求しないが)、ローファイ・リバイバルとほぼ同時進行に2000年代後半を彩った。ものすごく乱暴かつ簡単にいってしまえば、Beach Houseはその両方の性質を持った配合種ともいえるだろう。

本作は2010年に発表されたキャリア3枚目のアルバムで、これまでの作品の流れを踏襲しながら、よりハイ・クオリティなドリーム・ポップを聴かせてくれる。その全容は、少ない音数で構成された楽曲を空間系エフェクターで淡く彩った、終始スロー・テンポのドリーム・ポップ・アルバムであるのだが、前述のとおり、とにかくそのクオリティの高さに耳を奪われる。
粛々とした神秘性を楽曲に与えるヴィクトリア・ルグランによるオルガンの音色がひんやりと頬を撫で、そこにリヴァーブやエコーで処理されたギターが絡むことで、筆舌に尽くしがたいほどの淡い幻想世界が構築されていく。そしてこの独特なBeach Houseサウンドの核を形成するヴィクトリアのイノセントな歌声によって、そうしたひんやりとした手触りの音のなかにも有機的なあたたかさを感じさせてくれるのだ。

“Teen Dream”・・・それはきっと、美しい夢から覚めても
追い求めていかなくてはならない、永久の愛のテーマ


アルバム名のとおりドリーミーに展開していく本作は、1曲目の「Zebra」の心地よいウォーミーなギターの音色によるイントロから否応なしに胸が昂ぶらせられ、楽曲の進行とともに音数が増加、聴き手に対しても緩やかなテンションの上昇を図ってくる。
音の潮汐を繰り返しながらラストは再び音数を減らし、サビのフレーズがヴィクトリアによって淡々とリフレインされた後に、再び音が高潮を迎えて序章の幕が閉じられる。
そうして続く「Silver Soul」でまどろみの世界に引き寄せられ、シームレスに続く3曲目の「Norway」では、鳥肌を引き起こすほどに美しいコーラス・ワークとともに、ヴィクトリアのエモーショナルな歌唱が繰り広げられる。
5曲目「Used To Be」のメロディ・ラインをなぞるだけのシンプルなオルガンも、とかくそのメロディの美しさを際立たせているし、どの楽曲においてもドラムは最低限のビートだけを刻むことで、そのポップなメロディは強調され、エフェクティヴなギターによって生まれる浮遊感を増幅させている。その音像は、まるで全方位から音に包まれているような錯覚を覚えるほどで、音の抱擁と称すにふさわしい。
夢見心地なまま、しかしはっきりとその音に抱擁されているのを感じながら、Beach Houseの紡ぐ夢幻世界の先を目指していくと、徐々にこの夢の終わりを差す光が近づいてくる。
8曲目の「10 Mile Stereo」では、序盤では控えめに鳴らされる鼓動のようなバスドラと物憂げなギター・リフのみで構成された演奏が、楽曲が展開していくともにスタッカートのスネア、霧靄がかったリヴァーブ、炸裂音のようなシンバルの嵐へと変わりカオスを生んでいく。そしてヴィクトリアが“Love's like a pantheon, it carries on forever”のフレーズをエモーショナルに歌い上げ、音のカオスは静寂へと回帰していく。この楽曲を聴き終えたあとに感じる多幸感と、寂寥の彼方に立たされたような感覚というこのふたつの不整合の感慨は、本作の終盤に向かう流れのなかのひとつの頂点でもあるだろう。
続く9曲目「Real Love」を終えると、いよいよ本作最後を飾る「Take Care」が始まる。この楽曲は、おそらくBeach House史上、もっとも普遍性を擁した楽曲である。“I'll take care of you, take care of you, that's true...”というフレーズをリフレインしながら、厳粛に愛の歌が紡がれていく。緩やかに演奏がフェードアウトしていくなか、最後の最後までリフレインされるそのフレーズは、まさしく“Teen Dream”、若者たちにおける大切なテーマであり、信じるものだった。
そしてまた、“Teen Dream”を終えて、大人になったとしても、忘れてはならないテーマだ。

“Teen Dream”という名の夢は終わりを告げると、その先にあるのはティーンエイジャーだったころの、美しかった過去という名の余韻と、新しい朝が訪れるような清清しさだろう。それはきっと、美しい夢から覚めても、これからまた追い求めていかなくてはならない永久の愛のテーマだ。

キャリア3枚目にして最高傑作を作ったBeach Houseの次作がどのようなものになるのか。まだ見ぬ4枚目のアルバムに早くから期待を抱くとともに、この先も決して色褪せることのないであろう最高傑作「Teen Dream」を、いつまでも聴き続けていきたいと思う。

OFFICIAL WEB SITE→ http://www.beachhousebaltimore.com/

TOWER RECORDS ONLINE[Beach House]
TOWER RECORDS ONLINE「Teen Dream」[CD+DVD]

Teen Dream

Teen Dream

  • Beach House
  • Bella Union
  • 2010/01/26
  • CD
■Track listing
[CD]
01. Zebra
02. Silver Soul
03. Norway
04. Walk in the Park
05. Used to Be
06. Lover of Mine
07. Better Times
08. 10 Miles Stereo
09. Real Love
10. Take Care

[DVD]※CD+DVD盤に収録
01. Used to Be
02. Better Times
03. Walk in the Park
04. Zebra
05. 10 Mile Stereo
06. Silver Soul
07. Lover of Mine
08. Norway
09. Real Love
10. Take Care


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