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Bjork「Family Tree」 [■ESSAY]

special box 2002.11.27 release

真っ白な衣裳に身を包んだBjorkの姿は
まるで、闇のなかに浮かんだ妖精のようだった

essay―夏とフジロックと私とBjork
[text●h.mariko]

22222.jpg
Bjork/Fuji Rock Festival 2003(YouTube

ここ数年、夏といえば音楽フェスティバル、というような広告をよく見かけるようになった。音楽配信システムの普及以来、CDの売上が落ち込むのではという音楽業界の心配をよそに、音楽フェスはある種のドル箱と化しているように思う。その地域(開催地)に落ちる金額の大きさといったらない。そこに集う人数の多さを物語る。そして、そこに寄せられる期待も。

日本での、(商業的)音楽フェスの先駆けが、“フジロック・フェスティバル”だろう。1997年に生まれたこのフェスは、第1回目こそ富士山を望む“富士天神山スキー場”(現・ふじてんスノーリゾート/山梨県)で行なわれ、“フジ=富士山”を指す名称が相応しかったが、翌98年は東京都の豊洲で開催。そして第3回目の99年から現在に至まで苗場スキー場(新潟県湯沢町)で開催されている。それでも“フジ”の名を冠しているのは、日本の大規模音楽フェスティバルの先駆者としての、また“日本一のフェスティバル”だという、自負でないかと、勝手に思っている。

そのフジロックに毎年参加するようになって9年が経った。

いつもその季節になると、そわそわして、落ち着かない。早く苗場の土を踏みたいと思う気持ちと、あっというまに過ぎ去ってしまう3日間の奇跡をまだ味わいたくないという奇妙な気持ちの板挟みになるのだ。そもそも、休日は読書と睡眠、夏の日差しが大嫌いである超インドア派の私がどうして野外フェスに心酔したのだったろうと思い返すと、それは2003年、愛して止まないBjork( ビョーク)の出演を知り、どうしても観たいと勇んで出かけたののが始まりであった。

その2003年、だいだいのことは雑誌の紹介記事などで理解していたつもりだったが、夜行バスで到着した会場に、早くも圧倒された。緑のなかに包み込まれるようにして設営されたステージ。数万人の観客。ステージとステージの距離。あんぐりと口を開けて、その偉容を見渡したものだった。あとで知ったことだが、フジロックのゲート(入り口)からいちばん遠いステージであるオレンジコートまでの距離は、なんと渋谷~原宿間ほどであるという。しかも、道は未舗装。雨でも降ろうものなら濁流となり、あっというまに泥がこね上げられる悪路となる。そのなかを、延べ人数数十万人がひしめく。

そうして、私はフジロックをなめていたことを思い知らされた。“雨が降ったら気温が下がります、フリースジャケットくらいは用意したほうがよいでしょう”という記事には、「このくそ暑い季節にフリースなんてバカな」と、薄手のシャツ1枚しか持っていかなかった。“雨具はカッパのみ、傘は禁止です”という記事には「雨なんかそもそも降るのか?」と、これまた用意すらしなかった。“雨を防ぐ長靴、または登山靴のような足元をしっかりと守れる靴がいいでしょう”という文面には「大袈裟な」。いや、大袈裟どころの騒ぎではなかった、足の裏にできたマメで1週間は泣くことになり、スニーカーは泥にまみれて柄すらわからなくなり、染み込んだ泥水は靴下までをもオシャカにしてくれた。

こうやって書いてみると、いい思い出がないみたいだが。雨に降られて泥まみれ、いつもは使わない全身の筋肉の悲鳴をあげ、紫外線に晒された肌は荒れ・・・。しかし、フジロックは最高なのだ。これ以上に幸せな体験は、ない。だからこそ、03年に始まり、今年に至るまで参加を続けているわけだが、取り分け思い出深いのは、やはり初参加の年だ。
前述のとおり、天候は芳しくなく、身体中の痛みをなだめながら、1日歩き回った。疲れて不機嫌どころか、感情の動きがなくなった。

が、このときの目的であったBjorkのライヴを思い出すと、
今でも涙が溢れてくる。

2003年7月26日、夜闇に包まれたグリーンステージは数万の人が押し寄せ、立っているのも必死なくらい。しかも、足場は田んぼ状態。寒さが足もとからも、そぼ降る雨からも伝わってくる。
そうして歯の根が合わなくなるころ、ようやく登場したBjork。

その神秘的な姿に、心を奪われた。CDでしか聴いたことのない奇跡の歌声が、今自分の耳朶に直接入ってくることが信じられない。真っ白な衣裳に身を包んだ彼女の姿は闇のなかに浮かんだ妖精のようで、私は小さな背を必死に伸ばして、Bjorkの動きを追った。

ライヴが終わった後は放心状態に近かった。惰性でバスまで歩き、そのまま帰路に着いた。あんなに辛い1日は、あれ以来ない。が、まだまだここに残っていたい、音楽に浸りたい、その思いのほうが圧倒的に強かったことを記憶している。

この9年間、参加している間は、確かに過酷体験の繰り返しなのは認めよう。そして、チケット代が高いことも認めよう。宿泊を兼ねるとしたら、食費云々で、数万単位のおこづかいが吹っ飛ぶことにもなる。
が、過酷であろうが高かろうが、そこで繰り広げられる1回ぽっきりのアーティストのライヴは、ここでしか得られない何かが含まれているのだ。マイナスイオン溢れる(かどうかは知らないが)深い森のなかで聴く音楽。ときに芝に寝そべって、ハイネケンをすすりながら、青空を眺めて聴く音楽。そこにある非日常。ライヴハウスでは味わえない、開放感。音が空に散っていくのすら見えるのではないかと思えるくらいの大自然。都会の排気ガスのなかで仕事をしていることなど、すっぽりと忘れられる、そしていつもは隙間程度にしかない“音楽のためのスペース”が、身体中を占める。

音楽好きに、これ以上に幸せな体験があるだろうか?

そして出演者の豪華さ。私も最初は“Bjorkが観たい”というだけの動機で参加したが、その日以外も好きなアーティストは大勢出演していた。「3日間もこの幸せな時間があるのか」と知ったとたん、人はせいたくになる。フジロックは、3日間を味わい尽くさねば、どうも損した気分になる。それくらい、どのステージも、どのパフォーマンスも、素晴らしいのだ。
ときに、好きなアーティストの出演時間が別のステージに重なって、泣く泣くどちらかを蹴ることになっても、それはそれでいい思い出になる。興奮したファンに顔面に水をぶっかけられても、最後はハイタッチで終わることができる、それがフジロックのマジック。
たった3日間のためだけに用意された、この音楽のためのユートピア。あまりに贅沢な場所。大勢の観衆が詰めかけ、興奮し、また感動し、そして伝説がつくりあげられていく。

フジロックが終わると、ああ、夏が終わったな、と思う。苗場の涼しい風のなかから都会の蒸れた空気に触れただけでうんざりする。だが、私の身体には、“音楽のためのスペース”を埋め尽くした幸せな思い出がパンパンにつまっている。ipodで聴く音も、心なし、大きくなってしまう。脳裏に蘇る音楽と映像。帰りの電車のなかで思い出を反芻しながら、無意識に口角が上がってしまう。これが来年まで、続く。だから、フジロックはやめられない。

TOWER RECORDS ONLINE[Bjork]
TOWER RECORDS ONLINE「Family Tree/ファミリー・トゥリー」

new album 2011.10.05 release
TOWER RECORDS ONLINE「 Biophilia/バイオフィリア」

ファミリー・トゥリー

Family Tree/ファミリー・トゥリー

  • Bjork
  • ユニバーサル インターナショナル
  • 2002/11/27
  • CD
■Track listing
[CD1/ビョークが選曲した"グレイテスト・ヒッツ"]
01. Venus As A Boy
02. Hyperballad
03. You've Been Flirting Again
04. Isobel
05. Joga
06. Unravel
07. Bachelorette
08. All Is Full Of Love
09. Scatterheart
10. I've Seen It All
11. Pagan Poetry
12. It's Not Up To You
[CD2/Roots 1](3"CD)
01. Sidasta Eg(1984)
02. Glora(1980)
03. Fuglar(1983)
04. Ammaeli(A And E Joined Together)(1986)
05. Mamma(1987)
[CD3/Roots 2] (3"CD)
01. Immature(1996)
02. Cover Me(1995)
03. Generous Palmstroke(2000)
04. Joga(Strings & Vocals)(1996)
05. Mother Heroic(1999)
[CD4/Beats](3"CD)
01. The Modern Things(1991)
02. Karvel(1994)
03. I Go Humble(1995)
04. Nature Is Ancient(1997)
[CD5/Strings 1](3"CD)
01. Unravel
02. Cover Me
03. All Neon Like
04. You've Been Flirting Again
05. I've Seen It All
[CD6/Strings 2](3"CD)
01. Possibly Maybe
02. Anchor Song
03. Bachelorette
04. Hunter
05. Play Dead


new album 2011.10.05 release
バイオフィリア

Biophilia/バイオフィリア

  • Bjork
  • ユニバーサルインターナショナル
  • 2011/10/05
  • CD
■Track listing
01. Moon/ムーン
02. Thunderbolt/サンダーボルト
03. Crystalline/クリスタライン
04. Cosmogony/コスモゴニー
05. Dark Matter/ダーク・マター
06. Hollow/ホロウ
07. Virus/ウィルス
08. Sacrifice/サクリファイス
09. Mutual Core/ミューチュアル・コア
10. Solstice/ソルスティス
11. hollow/ホロウ ORIGINAL 7 MINUTES VERSION
12. dark matter/ダーク・マタ WITH CHOIR+ORGAN
13. nattura/ナットゥラ(自然)
14. the comet songザ・コメット・ソング(日本盤ボーナス・トラック)




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ハイスタの復活によせて ・・・そして想い出 [■ESSAY]

AIR JAM 97 臨海副都心 1997.08.30
AIR JAM 98 東京ベイサイドスクエア1998.08.22
AIR JAM 2000 千葉マリンスタジアム 2000.08.26


まだモッシュとかダイブに慣れてないし
砂埃がタイヘンだったけど、もみくちゃになりながら
3万人パワーで盛り上げたのは、いい思い出

[text●k.ryo]

いや~あがるね

「この映像partいくつまであるんだ?」と
嬉しい悲鳴をあげながら、
最後まで一気にみてしまう
YouTube「Hi-STANDARD - AIR JAM 」
ハイスタを始めて聞いたのは、高2のころ
同時代のヌンチャクにハマっていて、
“air jam97”に興味を持ち、
“air jam98”行ったさ!!
今振り返れば、初めてのロックフェスだね
しかもチケット代の安さが破格だった記憶がある
5000円かな

まだモッシュとかダイブに慣れてないし、
砂埃がタイヘンだったけど、
もみくちゃになりながら、
3万人パワーで盛り上げたのは、いい思い出だ

あとあと、wow wowでの放送を何度も観ては、
ブラフマンやスーパーステューピッドやレンチなどの
かっこよさも、周りに広めまくったな
そしてこのビデオは、年下にあげた
それもまぁ、いいしょ

チケット取れるかわからないから、
今年の“ air jam”に行けるかわからないけど、
“復活”自体は、単純に嬉しい
一回限りにせず、ほかのフェスとかにも出てほしいな

あ~気の知れた仲間と、車中で
熱唱したい!
フジロックの帰りとか・・・最高だね!

9.18 ハイスタンダード AIR JAM。届け!!!→ http://twitpic.com/4plnsx

TOWER RECORDS ONLINE「AIR JAM 2000」

AIR JAM 2000 [VHS]

AIR JAM 2000

  • PiZZA OF DEATH RECORD
  • VHS
■Track listing
01. BOUNCE IT~BLAZIN'/BACK DROP BOMB
02. FLOW(IT'S LIKE THAT)/BACK DROP BOMB
03. Jerk Man/ABNORMALS
04. 弧動/ABNORMALS
05. SCHOOL DAYS/The SKA-FLAMES
06. TOKYO SHOT/The SKA-FLAMES
07. | ̄|_(PULSE)/THE MAD CAPSULE MARKETS
08. ISLAND/THE MAD CAPSULE MARKETS
09. LITTLE GIANT/MASTERLOW(01)
10. RULES/MASTERLOW(01)
11. 7月/bloodthirsty butchers
12. KOKORO WARP/SHAKKAZOMBIE
13. BIG BLUE/SHAKKAZOMBIE
14. ハイサイおじさん/喜納昌吉&チャンプルーズ
15. 花/喜納昌吉&チャンプルーズ
16. JACK THE VIOLENCE/MAD3
17. LOOKIN' FOR A TROUBLE SCAFULL KING/MAD3
18. YOU AND I, WALK AND SMILE/MAD3
19. WE ARE THE WORLD/MAD3
20. コウモリ/MOGA THE ¥5
21. あいまいな世代の傷跡/MOGA THE ¥5
22. FOOL RIDER/鉄アレイ
23. FORCE/鉄アレイ
24. TSUKIOOKAMI/COCOBAT
25. GRASSHOPPER/COCOBAT
26. arrival time/BRAHMAN
27. NEW SENTIMENT/BRAHMAN
28. MIND BREAKER/THE 原爆オナニーズ
29. ANOTHER TIME ANOTHER PLACE/THE 原爆オナニーズ
30. Beginning is start of the end/WRENCH
31. 欠けボタンの浜/HUSKING BEE
32. WALK/HUSKING BEE
33. STAY GOLD/Hi-STANDARD
34. SUMMER OF LOVE/Hi-STANDARD
35. MOSH UNDER THE RAINBOW/Hi-STANDARD


ATTACK FROM THE FAR EAST [DVD]

ATTACK FROM THE FAR EAST

  • トイズファクトリー
  • DVD
■Track listing
01. SUMMER OF LOVE
02. I'M WALKIN'
03. LONELY
04. NEW LIFE
05. SUNNY DAY
06. IN THE BRIGHTLY MOONLIGHT
07. WHO'LL BE THE NEXT
08. KISS ME AGAIN
09. LOVIN' YOU
10. GROWING UP
11. MAXIMUM OVERDRIVE
12. WAIT FOR THE SUN


ATTACK FROM THE FAR EAST II [DVD]

ATTACK FROM THE FAR EAST II

  • トイズファクトリー
  • DVD
■Track listing
01. オープニング~タイトル・テロップ
02. FIGHTING FISTS ANGRY SOUL
03. サンフランシスコ オフショット風景
04. MY SWEET DOG
05. サンフランシスコ オフショット風景
06. MAXIMUM OVERDRIVE
07. ヨーロッパ オフショット風景
08. STOP THE TIME
09. SHY BOY
10. ヨーロッパ オフショット風景
11. CALIFORNIA DREAMIN'
12. ヨーロッパ・ツアー日程テロップ
13. NEW LIFE
14. THE KIDS ARE ALRIGHT
15. アングリーフィスト・ツアーテロップ
16. START TODAY
17. アングリーフィスト・ツアーオフショット風景
18. ENDLESS TRIP
19. アングリーフィスト・ツアー日程テロップ
20. GROWING UP
21. AIR JAM タイトルテロップ~オフショット
22. CLOSE TO ME
23. AIR JAM オフショット風景
24. SUNSHINE BABY
25. AIR JAM オフショット風景
26. MY HEART FEELS SO FREE
27. THE SOUND OF SECRET MINDS
28. エンディング スタッフ・ロール
29. 黒画面
30. AIR JAM オフショット風景

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h「29歳の小言」Vol.3 土俵~パート1~ [■ESSAY]

essayでひと休み

Vol.3 土俵~パート1
[essay●h]

会社における“鳴物入り”と言われるヤツは、なにも人からの総称である必要はない。
自薦他薦を問わず、実力のある者だけがそういう雰囲気をかもし出せるのだ。

私がこれまで実力がものを言うような世界に身を置いたことがないので、デキる人間とそうでない人間の境界は非常に曖昧で、心底デキる人間の仕事ぶりを目の当たりにしたことは数えるほどと言っていい。
ただ、組織の中で自分をどう目立たせるか、他人より自分をどう引き立たせるか、そのことに懸けては超一流の人物に出会ったことがある。
営業アシスタントの立場で彼をサポートした1年間。
いま思うとそれは非常にかけがえのない時間であった。
人間の愚かさと尊さを間近で見せつけてくれた唯一の人・・・
私がこの会社にやって来たとき、彼は次期支店長候補としてすでに本領を発揮していた。

「うちの会社を選んだのにはどういう理由からなの? 」
派遣社員に対する面接で、一縷の迷いも無くそう聞いてきた彼。
派遣ですから!タイミングよくあてがわれただけで、そこに理由なんて無いですから!!
いまでもあの時の強烈な印象と冷や汗を忘れられない。
私が入社する半年ほど前に転勤してきてすでに面接官の役割を得ていた彼は、“支店長補佐”という見えない役職を立派に果たしていた。経費で私利私欲を肥やすことだけが楽しみだった当時の支店長からすれば使える駒。
「次は君しかいない」
ことあるごとにそう言い放ち、目の前に次期支店長という餌をぶら下げて飼い犬同然に彼を飼いならしていた。

ある日の夕方、そんな悪徳支店長が突然汗をかきはじめた。
ただでさえ、バーコードの隙間から強烈な光を放っているというのにこれ以上何が・・・
「明日本社で支店長会議があるの忘れて、お客さんとのアポ入れちゃった」
彼のそのひとことにその場が凍りついたのは言うまでもない。
ほかの支店のまともな支店長なら、会議の資料作りに精を出しているはずなのでまずそんなミスは犯さない。
常にその場凌ぎの彼だからこそできる熟練の業だった。
「あーでも、そろそろMさんが出張から戻ってくるから、その足で行ってもらおう」
行ってもらおうってアンタ、数日間の関西出張からやっと戻ってきた人に、その足でまた関西に行ってくれって頼むの? そんなにハードな会社でした??
事前に、しかるべき理由によって支店長が出席できないなら、彼に代理を頼むならわかる。
しかし、支店長の腹は決まっていた。
関西帰りの彼が支店の扉を開けた瞬間
「あのさ~悪いんだけど~、もう一回関西行ってくれるかな~。明日会議があるんだけど~俺お客さんとの大事なアポが入っちゃって行けないんだよね~」
自分では可愛いと思っているのか、やけに語尾を延ばしつつ甘えた口調でそう言い放った。
その後なにやら彼の耳元でささやき、彼の肩をポンと叩いた瞬間
「ほんなら仕方ないなぁ~、また関西行ってきまっせ~」
まるで自分自身を取り戻したかのように、彼は苦笑いまじりにまた支店を飛び出して行った。
そんな後姿を見送りながら、ほくそえむ支店長がひとこと、
「これも支店長になる練習だから・・・」
そうひとりごちていたのを私は聞き逃さなかった。

バカっ! Mのバカっ!!
そう思いつつ、懸命に権力を握らんと奔走する五十男の背中がやけに眩しかった。
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h「29歳の小言」Vol.2 会社 [■ESSAY]

essayでひと休み

Vol.2会社
[essay●h]

悲しいかな、会社員はときに会社という共産主義国の国民となる。

何も見ず、何も耳にせず、前だけを向いて社会に参加することは無理だ。
自己の思想や妄想だけで社会との関係を築くことができれば、いまの世の中にこんなにも精神科のクリニックは溢れていない。
宗教法人でも立ち上げない限り、真の理想郷は遠い夢であると思う。

だからほとんどの人が仕事をバーターとして社会と繋がり、自我の均衡を保っている。
やり方はさまざまだが、その多くが会社という営利を目的とした集団に属する。

もちろん私もそのうちのひとり、いち会社員だ。

勝間和代のベストセラー「断る力」にこんな一節がある。
「人に無理に合わせようとすると、組織もあなたも疲弊する」
いまや知らぬ者のいない超合理主義の彼女が、仕事の生産性を上げる最も重要で、かつ効果的な秘訣が「断る力」なのだと断言している。

正直、それには全くピンとこなかった。
私にとって会社とは、断る場所ではなかったからだ。
これまでの私の経験や周囲の人間の行動からいっても、会社でどんなことを命じられても断る人間などいなかったし(もちろん法の許容範囲内で)、

断る・・・何を?

といった具合に、自分でも気づかないうちにバカになっていたように思う。
しかしこれは私の脳の萎縮でも退化でもない、もっと恐ろしい事態の発覚だった。

そもそも私がバカになった錯覚に陥ったのには、これまでの仕事は断る理由が見つからないほどの陳腐なものばかりだったということもある。

「断る力」を行使できる人種というのは限られていて、専門職(スポーツ選手や限られたジャンルの研修員等)でない限り、人はまず仕事を断れない。
なぜならばいまの世の中、自分の代わりなど掃いて捨てるほどいるからだ。

個人の資質に頼らなければならないほど、一般企業はヤワではない。

つまり会社とは、適材適所の配置を取りつつその人材の思考までもを統制する力を有しているのだ。
自分のポジションを必死に守ろうとする人間の猛々しさたるや・・・もちろん自分も例外ではない。

無意識に社員をバカに洗脳するには会社から放り出される恐怖心を植えつけることが鉄則のようだが、これまでを振り返ると、それに加えて圧政時代のプロパガンダにも似たネガティブキャンペーンが繰り広げられてきたように思う。
それは出世欲の塊のような人間が、会社への強い忠誠心を周囲に嫌というほど見せつけ、会社に逆らう、仕事を断ることを絶対悪とする方法だ。

数々の猛者どもが私の前に立ちはだかり、勧進帳の弁慶ばりの大立ち回りを演じてくれた。

そろそろ重要無形文化財に指定されかねない某支店長をはじめ、次回からは私が職場で出会った偉大な歌舞伎者たちのエピソードをご紹介しつつ、会社という一大国家の在り方を紐解いていきたいと思う。

断る力 (文春新書)

断る力
(文春新書)

  • 勝間和代
  • 文藝春秋
  • 2009/02/19



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hikaru「29歳の小言」 [■ESSAY]

essayでひと休み

Vol.1自由
[essay●w.hikaru]

頭が痛くなるような朝日の眩しさから遠ざかり、はや10年。

いつからか、私の朝は社会へ参加するために足早に過ぎる時間でしかなくなった。

私が東京を去ってから朝まで遊び歩いた友人たちとは連絡さえつかないが、非力ながらも経済活動に勤しみ、一定時間を毎日同じ場所で、限られた人間と、会社という組織に尽くすことで、少なからず自分の居場所を確保している。

あの頃の記憶や感情は年々薄れていくが、あの頃の友人と再会しいまの生活を伝えたいとは露ほどにも思わない。

私がいま大切にしていることはきっとあの頃の友人たちにとってもまた、かけがえのないことだからだ。

生活は、平穏であること自体が素晴らしい。

知らない人間と一晩のうちに親密になり、酒や音楽の力を借りて自分は自由を謳歌していると思い続けていたあの頃・・・

それでも私はいまが一番自由だと言い切れる。

制約のない自由など、この世には存在しないことに、あの頃の私はまだ気づきもしなかったのだ。
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