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手塚治虫作「どろろ」 [●COMIC]

人のカタチをして人を騙す化物
人のカタチをした百鬼丸と
その差は、いったいどこにあるのか

[text●h.mariko]

人気俳優の主演で映画化して以来、一挙に有名になった感がある。が、私がこの作品と出逢ったのは、なんと5歳のときであった。もともとブラザーコンプレックスの気があっただけに、この作品は痛烈であった。
「百鬼丸は、どこを探せばいるのだろう?!」
5歳だった私は、なかば本気で考えたものである。懐かしい思い出である。

醍醐景光は、天下を手中に収める野望のため、地獄堂にて四十八の魔像に願う。魔神からの答えは、天下を取らせるために、体を寄越せというものであった。醍醐は言う、明後日産まれる予定の俺の子どもから、好きな場所を取れ、と。
そうして産まれた子どもは、体のあらゆる場所が欠け落ちていた。
醍醐は天下を取ることを誓い、できそこないの子を盥に乗せて流してしまう。
その子どもは有能な医者に助け上げられ、体のパーツを作ってもらい、百鬼丸という名を貰った。百鬼丸は見た目は普通の青年だが、四十八カ所が作り物であること、そしていつも化物につけ狙われているところが、少し、普通ではない。
ひょんなことから助けたどろろと道行きをともにし、襲い来る化物を退治する。

などと書いてしまうと、百鬼丸は善の存在であり、化物は悪の存在、もちろん醍醐景光も極悪、と思えるであろうか。

この物語を何度となく読み返したが、いつも不可思議な感覚があった。それは、恐らく主人公の目が常に俯瞰の位置にあることではなかろうか。
手塚氏は、キャラクターの誰かに肩入れすることなく、この物語を描いた気がする。

タイトルこそ「どろろ」であるが、化物退治に活躍するのはもっぱら百鬼丸である。その百鬼丸を生んだのは醍醐であるが、醍醐は百鬼丸の存在を抹殺した。育ての親とは途中で別れてしまう。旅の道行き、さまざまな人と出会うが、それはすべて一期一会、その場限りであることが殆ど。むしろ、百鬼丸の異形を知ると、人々は彼を畏れる。それに怒るどろろ。
人の形をして人を騙す化物。作り物も多いが、人の形をした百鬼丸と、その差は、いったいどこにあるのか?

物語としては、唐突に終ってしまう。よって、多くを推論に頼らなければならないのだが、考えれば考える程「推論」は膨らむ一方だ。私たちは、手塚氏の遺したメッセージをどう受け取ればよいのか。
どろろと百鬼丸の活躍を楽しみながらも、その部分を考えてみたい作品である。

どろろ (第1巻) (Sunday comics)

どろろ (第1巻)

  • 手塚治虫作
  • 秋田書店(Sunday comics)
  • 1974/09
  • コミックス

どろろ (第2巻) (Sunday comics)

どろろ (第2巻)

  • 手塚治虫作
  • 秋田書店(Sunday comics)
  • 1971/11
  • コミックス

どろろ (第3巻) (Sunday comics)

どろろ (第3巻)

  • 手塚治虫作
  • 秋田書店(Sunday comics)
  • 1972/01
  • コミックス
※秋田書店サンデーコミックス「どろろ」は第4巻まで刊行

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D’ERLANGER「a Fabulous Thing in Rose」 [●ROCK]

復活後初のセルフ・カバー・アルバム
決して過去のバンドではない
現在進行形の彼らを味わえる作品

[text●i.akira]

その昔、自ら“SADISTICAL PUNK”という言葉を掲げ、数々の伝説を残しながら1990年に解散したD’ERLANGER。その後、各メンバーはさまざまな活動を行ない、17年の時を経て2007年にまさかの復活を果たした。本作「a Fabulous Thing in Rose」は、復活後4枚目のアルバムにして、初のセルフ・カバー・アルバムである。

復活前にリリースされたアルバム2枚の楽曲を中心にした本作は、いきなり「LA VIE EN ROSE」の英語バージョンで始まりを告げたかと思えば、矢継ぎ早に名曲の数々が新たな命を吹き込まれて蘇っていく。
ムチャなリアレンジもなく、むしろよりシンプルにアップデートされたそれらは、過去の音源とはケタ違いの重厚さと味わいが加味され、まるでまるっきりの新曲を聴いているような新鮮さがある。楽曲自体に古さを感じさせないところも、いかに彼らが優れた曲を作っていたかを表わしているようだ。そこには技量のみの問題ではなく、今現在の彼らの勢いを表わしたような自信がうかがえる。
また、当時正式にレコーディングされることのなかった隠れた楽曲「EVERYTHING IS NOTHING」の初レコーディング・バージョンや、復活後のナンバーである「dummy blue」「XXX for YOU」「柘榴」「Angelic Poetry」が収録されており、彼らを初めて聴く人にとってはベスト盤としても楽しめる内容である。

本作を引っさげ、11月12日(金)の福岡 Drum LOGOSを皮切りに「TOUR2010 –a Fabulous Thing in Rose-」を行なう彼ら。アルバム同様に、決して過去のバンドではなく、進化を続ける現在進行形のバンドとしての彼らを味わえるだろう。

OFFICIAL WEB SITE→ http://www.derlanger.jp/ 

a Fabulous Thing in Rose(初回生産限定)

a Fabulous Thing in Rose
(初回生産限定)

  • D’ERLANGER
  • cutting edge
  • 2010/09/29
  • CD

a Fabulous Thing in Rose

a Fabulous Thing in Rose

  • D’ERLANGER
  • cutting edge
  • 2010/09/29
  • CD

D'ERLANGER TOUR 2010 - a Fabulous Thing in Rose -
11/12 福岡・Drum LOGOS
11/13 福岡・Drum LOGOS
11/19 京都・京都会館 第2ホール
11/21 愛知・名古屋 ダイヤモンドホール
11/28 北海道札幌PENNYLANE24
11/30 宮城仙台 darwin
12/01 宮城・仙台 darwin
12/03 東京・中野サンプラザホール

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萩尾望都作「訪問者」 [●COMIC]

気持ちに余裕があり
落ち着いているときに読みたい
短編なのに、心をえぐるストーリー

[text●h.mariko]

前項で紹介した「トーマの心臓」の登場人物にしてキーパーソンであるオスカーの過去を描いた短編マンガ。
出版の順序はともかくとして、「トーマの心臓」了読後に「訪問者」を読んでみたい。そのほうが、オスカーという少年の立ち振る舞い、ときに見せる寂寞感、達観した態度、それらの理由がよくわかるからである。

少年オスカーは、父と旅をしていた。

その、いちばん楽しい時期を、悲しみ溢れる表現で綴った作品である。
子どもとは成長過程にある生き物で、子どもと接するときに大人はつい「コドモ」だと思って、油断する。子どもというのは、ときに狡猾に計算して動く生き物であることを忘れ、かつて自身がそうであったことも忘れ、「大人よりも頭が切れる子どもはいない」と思い込みがちなのである。

オスカーは、頭のいい子どもだ。勉強ができる云々ではなく、頭の回転が速いのだろう。よって、抱えなくてもよい痛みを抱え、自分ができる方法で父親を守り、自分を守った。

どんなに明るいシーンでも、哀しみがそこここに溢れている。

この作品は、どうか気持ちに余裕があり、落ち着いているときに読んでほしい。読者がオスカーを支えてあげなければ、彼は簡単に折れてしまうのではないか、オスカーの行く道を見守ってあげなくては、彼は簡単に壊れるのではないか、そんな危険を孕んでいる主人公を、しっかりと見据える必要があるのではないかと思ってしまったが最後、彼の背負ったものの重さにたじろいでしまう。

短編であるのに、心をえぐるストーリーである。

表題作「訪問者」が有名だが、他の収録作品「城」「エッグ・スタンド」「天使の擬態」にも萩尾女史の世界観が溢れている。

訪問者 (小学館文庫)

訪問者

  • 萩尾望都作
  • 小学館(小学館コミック文庫)
  • 1995/08
  • コミック文庫


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柴田義松著「ヴィゴツキー入門」 [●BOOK]

幼い時期から個性を過剰に重んじて
進化できるかもしれない部分を放擲させてしまうのは
大人の身勝手なのかもしれない

[text●k.yoshihiro]

相手の立場や状況をかんがみた上で、配慮のある言葉をかける。ある人にとっては嬉しいような言葉が、また別の人には厳しくも聞こえるということはままある話だろう。
もちろん、すべての人に優しく接することはできないし、むしろ恋人や家族、親友など自分に近しい存在にこそ居心地のよい空間を作ってあげたいなどと思う。完全には不可能であるとはいえ(むろん、僕も思うように理想を具現できず、やきもきすることは多い)、そのために必要な能力というのは、やはり相手を理解する力であるように思う。

人間力とでも呼べるかもしれない。

そういった人間力を高めることが、教育の重要な役割であって、心理学のモーツァルトとも呼ばれる心理学・教育学者のレフ・ヴィゴツキーが教育において言語と算数に重きを置いたことは、そのことに非常に密接に関係しているのではないかと思う。

言葉は事物に明確な差異を与え、そのものの概念を規定する。対して、算数は論理的思考を研くことができる。
つまり、相手がどんな人であるかを見極め、彼(彼女)の思考回路であれば、こういう考えに行き着くのではないかという予測をたてる能力にも結び付くのである。

その認識の上に配慮というのは存在するのだ。

そういった能力を人の中にポテンシャルの種として蒔く上で、初等教育は決してかろんじてはならない。発達の最近接領域といって、子どもたちは常に進化をする可能性を秘めているのに、幼い時期から個性を過剰に重んじて、進化できるかもしれない部分を放擲させてしまうのは大人の身勝手なのかもしれないと考えさせられた。

「ヴィゴツキー入門」は教育について深い思慮を与えてくれる良書である。

ヴィゴツキー入門 (寺子屋新書)

ヴィゴツキー入門

  • 柴田義松著
  • 子どもの未来社(寺子屋新書)
  • 2006/03
  • 新書


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萩尾望都作「トーマの心臓」 [●COMIC]

舞台はドイツ
中高一貫の男子校に通う生徒たちが主人公
愛。その深みを少年たちの揺れ動く感情とともに
瑞々しく描きだした傑作

[text●h.mariko] 

この作品を原作にした演劇を見る前に、とりあえずストーリーを知っておこうと思って読んだのが最初だった。
しかしそのときは、正直、ピンとこなかった。
劇を見て、何かいろいろ考えて、そのあと、もう一度じっくり読んだら、涙がとめどもなく流れたのだった。

舞台はドイツ。ギムナジウムという、中高一貫の男子校に通う生徒たちが主人公。
ある雪の日、トーマ・ヴェルナーが鉄橋の上から線路に転落死する事故が起きた。雪解けの道に足を取られた悲しい事故、そう思われ、悼まれた。
その、トーマから熱い視線を受けていたユリスモールに届いた一通の手紙。トーマが絶命する前に投函されたと思われる手紙には、こう記されていた。

「ユリスモールへ 最後に これがぼくの愛 これがぼくの心臓の音 きみにはわかっているはず」
トーマは事故死などではない、自殺?

手紙の意味を呻吟し、ユリスモールはトーマの墓前で手紙を破り捨てる、これが僕の答えだと叫びながら。

時を同じくして、ギムナジウムに転校生がやってくる。巻き毛の美しい転校生エーリクは、奇しくも死んだトーマと瓜二つであった。
ユリスモールとエーリク、ふたりの仲介をしながらもふたりを見守るオスカーを中心に、彼らの心の動きが描かれていく。

観劇が終った後、こんな言葉が耳に届いた。

「結局これってさあ、同性愛を美しく描きたかっただけじゃない?」

趣としては、近いのかもしれない、同性愛。
多感な少年たちを詰め込んだ寮生活の中で起きる事柄を中心に描かれること、また「愛」という言葉が頻繁に飛び出すからであろうかと思われる。
だがしかし、断じてそのような軽はずみな、「描きたかっただけ」などという言葉で終らせられない感情が、この物語には詰まっていることを、ここに断言したい。
日本には薄い感情であるかもしれないが、「神性」ということがキーワードになっているがゆえに、主人公たちの抱く感情が理解し難いことがあるかもしれない。
「自らの神を持つ」ということを理解して、もう一度この物語に向かってみると、愛とはもっと根源的な、キリスト教になぞらえるなら聖母マリアがすべての人に微笑みかけるその博愛、そのようなものではないだろうか? と思えてくる。
決して、個人では得ることのできない、愛。その深みを少年たちの揺れ動く感情とともに瑞々しく描きだした、歴史に残る大傑作である。

トーマの心臓 (小学館叢書)

トーマの心臓

  • 萩尾望都著
  • 小学館(小学館叢書)
  • 1989/11
  • 単行本

トーマの心臓 (小学館文庫)

トーマの心臓

  • 萩尾望都著
  • 小学館(小学館文庫)
  • 1995/08
  • 文庫

トーマの心臓 1 (フラワーコミックス)

トーマの心臓 1

  • 萩尾望都作
  • 小学館(フラワーコミックス)
  • 1975/01
  • コミック

トーマの心臓 2 (フラワーコミックス)

トーマの心臓 2

  • 萩尾望都作
  • 小学館(フラワーコミックス)
  • 1975/04
  • コミック

トーマの心臓 (3) (フラワーコミックス)

トーマの心臓 (3)

  • 萩尾望都作
  • 小学館(フラワーコミックス)
  • 1975/06
  • コミック


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M.J.Q Live at the voodoo Lounge [●LIVE REPORT]

M.J.Q(遠藤ミチロウ+山本久士+クハラカズユキ)九州ツアー
2010年10月21日 at the voodoo lounge(福岡市中央区天神)


還暦を迎えてなおギラギラと輝く姿
音楽やスタイルを越えた、生きざまとしてのパンク

[text●i.akira]

THE STALINのボーカリストであり、ジャパニーズ・ハードコア・パンクの生きる伝説である遠藤ミチロウが“Unplugged Punk”を掲げ活動している3ピース・バンドM.J.Qのライブを観に行ってきた。

SEとして12月にリリースされる遠藤ミチロウのトリビュート・アルバムより、グループ魂による「お母さん、いいかげんあなたの顔は忘れてしまいました」の爆走ロックンロールなカバーが流れ、メンバーが登場する。もう、その立ち姿からしてパワーが違う。まもなく還暦を迎えるという男のオーラとは思えないほど、ギラギラと輝いている。
M.J.Qはエレアコ2本とドラムと歌声のみのシンプルなスタイルだが、それゆえの真剣勝負のような緊張感がステージに漂っている。しかもメンバーは山本久士(東口トルエンズ/MOST)とクハラカズユキ(The Birthday)という百戦錬磨の獣である。並の力では押し潰されてしまうだろう。しかしミチロウの存在感はまるで色褪せない。彼が叫べばそこは彼を中心として回る世界になってしまう。もはや音楽やスタイルを越えた、生きざまとしてのパンクがそこに在った。
基本的にはM.J.Q名義の唯一のアルバム「Unplugged Punk」からのナンバーを中心にしながら、胸に染みるバラード「カノン」や、THE STALIN時代の楽曲である「解剖室」や「ロマンチスト」、「ワルシャワの幻想」など、彼のキャリアを総括したようなすばらしいセット・リストを最前列でたっぷりと堪能させてもらい、頭を下げたくなるほどの満足感を得ることができた。

11月15日には自ら還暦を祝うイベント“遠藤ミチロウ生誕祭 『Roll Over 60th』 ~還暦なんかブッとばせ!~”が渋谷O-WESTで開催される。自らのユニットであるNOTALIN’S、TOUCH-ME、M.J.Q、そしてこの日だけのスペシャル・ユニットTHE STALINISMが一日で楽しめるという贅沢な日である。さらに冒頭にも触れたが、12月に遠藤ミチロウの生誕60周年を祝した2枚のトリビュート・アルバム「ロマンチスト~THE STALIN・遠藤ミチロウTribute Album~」と「青鬼赤鬼」がリリースされる。参加アーティストはAA=、銀杏BOYZ、グループ魂、黒猫チェルシー、DIR EN GREY、戸川純、BUCK-TICK、フラワーカンパニーズ、MERRY、YUKI、WAGDUG FUTURISTIC UNITY、遠藤賢司、友川カズキ、竹原ピストルと超豪華である。ジャンルや世代を飛び越えて愛され続ける彼だからこそ可能なメンツだろう。

若さだけのぬるいパンクスを聴くくらいなら、遠藤ミチロウのライブに行くといい。
パンクとはどういうものか、その最前線を思い知ることだろう。

OFFICIAL WEB SITE→ http://punk-mjq.kin-pro.boo.jp/ 


Unplugged Punk

Unplugged Punk

  • M.J.Q
  • 徳間ジャパンコミュニケーションズ
  • 2006/09/27
  • CD


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ACO「absolute ego」 [●POPS]

とろけるように甘い
歌声に潜む毒

[text●O.yukii]

個性とはアクが強いことでもあり、その個性が強ければ強いほど好き嫌いが分かれることもある。最近の女性ソロ・アーティストで、極端に好き嫌いが分かれるような個性を感じられる人が少なくなったように思う。

そこで紹介したいのがACO(アコ)。現在33歳。

1995年に18歳でシングル「不安なの」でメジャーデビュー。
その後コンスタントにリリースを重ね、Dragon Ashの「Grateful Days」にフィーチャリングで参加し、一気に知名度を上げた。
ドイツでの移住・創作活動を経て、今年10月に新作「devil's hands」を発表したばかりだが、あえて過去の作品について触れてみたい。

1999年に4枚目のアルバムとして発表された「absolute ego」。
それまではR&B寄りのPOPSを基軸としたナンバーが多かったが、このアルバムはサウンドトラックメイクが凝っており、よりモダンでメランコリーな楽曲が揃う。
余計な音やギミックを省いたアレンジは、あくまでもACOの歌声を中心に構築されている。

ACOの歌声はとろけるように甘い。でもそこはかとなく毒が潜んでいる。独特の色気。その「声」から生じる感情の起伏は練習して出せるものではない。当時の彼女ならではの気だるい雰囲気と、ある種の切迫した愛情や心情を綴る歌詞。ひとつひとつの要素が相まってはじき出される彼女の強烈な“我”が聴く者を虜にする。

「absolute ego」に収録されている「悦びに咲く花」「雨の日の為に」「哀愁とバラード」はオリジナル、「SPLEEN」「愛したあなたは強いひと」はヴァーション違いで2007年に発売されたベスト・アルバム「ACO BEST~girl's Diary~」でも聴くことができる。
こちらはデビュー曲からこれまでリリースしてきた楽曲がおさめられている集大成的な2枚組なので、ACOを初めて聴く人には最適だ。

リリースは10年以上も前だが、今の時代に色褪せることなくピタリとハマる。そして秋という季節にとても合う。

ACO Official website→ http://flavors.me/acoannann
Official blog→ http://acodiary.blogspot.com/

absolute ego

absolute ego

  • ACO
  • キューンレコード
  • 1999/12/15
  • CD


devil’s hands

devil’s hands

  • ACO
  • AWDR/LR2
  • 2010/10/06
  • CD


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夢枕獏 天野喜 共著「鬼譚草紙」 [●BOOK]

夢枕獏の幻想的な文章に
天野喜孝の絵が花を添える
こんなに美しいもの
そうは見つからない

[text●h.mariko]

かつて平安の世には、さまざまなものが息づいていた。
鬼、怨霊、精霊、魑魅魍魎。
現代の世では「不思議なものは限られた人にしか見えない」などという論があるが、このころは誰もが怪異に遭うことがあり、不思議がまかりとおり、世の帝さえも悪鬼を畏れていた。

平安の世を妖しく美しく耽美的に、淫らに描き出す世界。対をなすように、艶やかに描かれる絵画が 入ると、本の世界に誘われる。

短編の3作品は、ともに刹那さと香りたつような 色気のある言葉が印象的。
鬼と人と、あやかしと、心が交錯する世界は もの寂しさと儚さが、読み終えたあと降りてくるよう。

本の装丁も凝りに凝ったつくりで、表紙のイラストから、本のまわりに塗られた色、しおりのひもまで、すべてが計算づくに思えるが、それが嫌みにならない、美しさ。文章としての完成度、芸術品のような本としての完成度、逸品であること間違いない。

鬼譚草紙

鬼譚草紙

  • 夢枕獏 天野喜 共著
  • 朝日新聞社
  • 2001/07
  • 単行本

鬼譚草紙 (朝日文庫)

鬼譚草紙

  • 夢枕獏 天野喜 共著
  • 朝日新聞社(朝日文庫)
  • 2006/09
  • 文庫


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サンボマスター「サンボマスターは君に語りかける」 [●ROCK]

もはや相手の気持ちさえもどうだっていい
ただあなたと繋がりたいんだ
それを本気で叫んでいる音がする

[text●u.junko]

ロックンロールには喜怒哀楽のすべてがある。だからどれだけ轟音のギターが鳴っていても、意識していなかった感情の何かに触れて、泣きたくなる瞬間があったりする。

とはいえ、星の数ほどある音楽のなかで、そんな瞬間を体感するのはごく稀で、ガツンと自分のなかに刺さる音との出合いは貴重なものである。

サンボマスターは中途半端な間合いでにじり寄ってくるなんて、そんなまどろっこしいことはしない。人の心にいきなり、そして不躾なほど直球でぶつかってくる。

しかし、いきなり土足で踏み込んでこられても、不思議なほど不快でないのは、彼らが恐ろしく“本気”だからだ。熱いことがカッコ悪いとされることも、もはや相手の気持ちさえもどうだっていい。ただあなたと繋がりたいんだ。それを本気で叫んでいる音がする。

それが塊となって鳴らされた日にゃ、自分の耳に入り込んできた音によって与えられる感情が、脳で言語化される暇もなく、ただ心で受け取るしかない。何かよくわからないけど、とにかくすごい。それが彼らのすごさなのである。

OFFICIAL WEB SITE→ http://www.sambomaster.com/pc/top.jsp 

サンボマスターは君に語りかける

サンボマスターは君に語りかける

  • サンボマスター
  • ソニーレコード
  • 2005/03/24
  • CD


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乾くるみ著「リピート」 [●BOOK]

やんわりとした語り口調で終始するのだが
展開は意外な方向に進み
ページをめくる手が止まらない

[text●h.mariko]

家の電話が鳴る。携帯電話でもいい。
知らない人が突然、「これから地震が起きます。私は未来から来たので、それを予告できるのです」などと言う。
馬鹿らしい、と電話を切った途端、揺れ動く大地。揺れ動く心。

主人公の毛利圭介は、「未来から来た」と称する人物の言葉を信じて、時間を遡る「リピート」をする決意をする。
が、リピートしたとたん、一緒に過去にやって来た仲間がひとりずつ変死していく。
未知の病原菌? 誰かの手による殺人? 謎が謎を呼ぶストーリー
やんわりとした語り口調で終始するのだが、内容はSFあり、ミステリーあり、恋愛あり(!?)と、とにかく盛りだくさん。
展開は意外な方向に進み、まさにページをめくる手が止まらない。

楽しめた本だけれど、読み終わったときに、ちょっと考えさせられた。

「自分がもし、この本に出てくる人たちのように『リピート』できることになったなら・・・」
きっと誰もが一度は考えたことがある、
「あのとき、ああしていれば今がもっと違ったのに」
「あのときに戻れるものなら戻りたい」
でも、それができてしまうと、実は不都合が生じる可能性が・・・。

うーん、要は、世の中そんなにいい話は転がっていないから、狡いことを考えずにまじめに生きろ、ということか・・・。

リピート

リピート

  • 乾くるみ著
  • 文藝春秋
  • 2004/10/23
  • 単行本

リピート (文春文庫)

リピート

  • 乾くるみ著
  • 文藝春秋(文春文庫)
  • 2007/11
  • 文庫


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nano sound museum「PHENOMENON」 [●ROCK]

この音に飲まれる覚悟はあるか?
ライブ・ハウスもクラブも揺らしてくれる傑作

[text●i.akira]

このHPでも以前紹介したcolors departmentのナガオタツキ(Vo./G.)による別ユニットnano sound museumのファーストアルバム

今まで純粋なギター・ロックを鳴らしてきた彼が本作で表現しているのは意外にもダンス・ミュージックである。自らが培ってきたロック・サウンドやメロディ・センスを軸にしながら、敬愛するTECHNO、HOUSE、BREAKBEATSなどのテイストを散りばめ、ロックとダンスを見事に共存させている。同時に、いい意味での遊びの延長のような楽しさや何でもアリな感覚もあり、本来のダンス・ミュージックにはないような親近感やポピュラリティを生んでいる。ジャンルの壁を飛び越え、ライブ・ハウスもクラブも揺らしてくれる傑作である。サポートを務めるつばきのオガワヒロナガ(B.)とKELUNのカジタニマサヒロ(Ds.)による強靭なリズムもこの作品のオリジナリティを高めている。さらにGeorge(Mop Of Head)、和田大樹(hare-brained unity)、u★seiによるRemixも収録されており、さまざまな形で楽しめる作品だ。

「音に飲まれる覚悟はあるか?」。ナガオタツキがブログでいつも書いているフレーズである。その自信と決意をぜひ受け取ってほしい。11月13日には代官山UNITで本作のリリース・パーティが開催される。あなたもこの音に飲まれてみないか?

phenomenon

phenomenon

  • nano sound museum
  • 2010/10/13
  • CD


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advantage Lucy「ファンファーレ」 [●POPS]

ポップでクールなボーカル
しなやかな強さを感じさせるサウンド
なのに、聴き心地はやわらかい
とてもやわらかい1枚

[text●u.junko]

生クリームたっぷりのケーキの上に、粉糖やらチョコなんかがトッピングされていると、ただ甘いだけで、もはや何の味かわからなくなる。中身はフルーツなのか、ナッツなのかもわからないと、いったい何を味わって楽しめばいいのかわからない。

女性ボーカルの音楽も、これと近い感覚がある。音で十分それが聴けるのに、ひたすら甘ったるいだけの歌声でラブ・ソングなんて歌われたら、よっぽどセンスがいいか、何かしらそれを打ち消す要素がないかぎり、食傷気味になって停止ボタンを押してしまう。だから、どんな音であろうとも、そこだけ違う時間軸があるような、凛とした女性ボーカルはかっこいいなぁと思う。

advantage Lucyを初めて聴いたとき、なんてポップでクールなボーカルなんだろう! というのが最初の印象である。とはいえ、ただ可愛らしい歌声が魅力というわけではなく、それを支えるサウンドも、とてもしなやかな強さを感じさせる。まるで肌をさすように寒い真冬の日の、差し込むような透き通った光に似ている。このアルバムは、聴く人の心にチクリと刺さるのに、聴き心地はやわらかい、とてもやわらかい1枚。

OFFICIAL WEB SITE→ http://www006.upp.so-net.ne.jp/advantageLucy/ 

(01)メトロ
(02)Solaris
(03)シトラス
(04)真昼
(05)カタクリの花
(06)Smile again
(07)グッバイ
(08)8月のボサ
(09)SO
(10)armond


station

station

  • advantage Lucy
  • EMIミュージック・ジャパン
  • 2000/04/12
  • CD

Echo Park

Echo Park

  • advantage Lucy
  • Solaris Records
  • 2005/09/28
  • CD



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須藤元気著「神はテーブルクロス」 [●BOOK]

格闘家、というと
脳みそまで筋肉になってると思いがちだが
彼はとても柔軟で、貪欲な人

[text●h.mariko] 

格闘技が好きな人は、彼の引退を惜しんだのではないだろうか。
私は彼のファンであった。トリッキーな動きにせよ、独自のスタイルを持っている事は大切だと、思うからである。
須藤元気、実は書道のたしなみがあり、本を執筆し、音楽活動、俳優としても活躍している。
そのなかの一冊、「神はテーブルクロス」。
彼は独自の世界観を持っていて、それをエッセイふうに書き綴ったのが本作である。
格闘家、というと、マッチョ体型で脳みそまで筋肉になってるんじゃあないかなどと思いがちだが、彼はとても柔軟で、貪欲な人だ。興味があることには全て自ら飛び込み、一定以上の成績を出すのは並大抵のことではないと思うのだが、須藤元気のように、なんでもこなせる人もいるのだ。不思議と嫉妬感もなく、独特の人生観を語る本作は興味深い。
世界が平和になると、人は精神論に走るそうだ。彼の精神論に触れてみるのも、一興ではないだろうか?

OFFICIAL WEB SITE→ http://crnavi.jp/sudogenki/blog/ 

神はテーブルクロス

神はテーブルクロス

  • 須藤元気著
  • 幻冬舎
  • 2007/04
  • 単行本

神はテーブルクロス (幻冬舎文庫)

神はテーブルクロス

  • 須藤元気著
  • 幻冬舎(幻冬舎文庫)
  • 発売日: 2010/04
  • 文庫


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氷室京介「”B”ORDERLESS」 [●ROCK]

氷室京介の現在地
限界を超えたボーダーレスな世界

[text●i.akira]

なんというロックンロール・アルバムだろう。もはや説明不要、輝かしいキャリアと圧倒的カリスマ性を持った日本を代表するボーカリストである氷室京介の新作「”B”ORDERLESS」は、あまりにも刺々しく、ギラギラとした熱量に満ちている。

オリジナル・アルバムとしては実に4年ぶり、12枚目となる本作は、王道でありながら新たなる境地にも踏み込んだ意欲作でもある。まずストレートなロックンロール・ナンバーの上で荒々しい歌声を聴かせてくれる冒頭の3曲で度胆を抜かれる。過去にこれほど牙を剥き出しにした彼がいただろうか。その勢いのまま中盤まで一気に畳み掛けていく感じは痛快である。後半は柔らかなバラード「Never Cry Wolf」や、軽快な「Traumatic Erotics」やシングル曲となった「BANG THE BEAT」などがバランスよく収録されている。また、アメリカのオーディション番組「アメリカンアイドル」出身のアーティストであるアダム・ランバートの楽曲「Time For Miracles」のカバーや、初回盤にはMY CHEMICAL ROMANCEのボーカリストであるジェラルド・ウェイとの共演曲「Safe And Sound」も収録されており、バラエティに富みながらも、すべてがすべて氷室京介らしさが輝く名曲揃いである。今年で50歳を迎える彼だが、今なおこれほどの輝きを放っているのだから頭が下がる。

頂点に君臨する男が、まるで守りに入らず我流を貫き通す姿には、畏敬の念さえ覚えてしまう。現在開催中の全国ツアー「TOUR2010-11 BORDERLESS"50x50 ROCK'N'ROLL SUICIDE"」では、彼の限界を超えたボーダーレスな世界を堪能できることだろう。

OFFICIAL WEB SITE→ http://www.himuro.com/ 

“B”ORDERLESS 【初回限定盤】

“B”ORDERLESS
【初回限定盤】

  • 氷室京介
  • EMIミュージックジャパン
  • 2010/09/08
  • CD
(01)My Name is “TABOO”
(02)PARACHUTE
(03)Rock’n’ Roll Suicide
(04)Doppelgänger
(05)The Distance After Midnight
(06)忘れてゆくには美し過ぎる・・・
(07)Sarracenia
(08)Time for Miracles
(09)Never Cry Wolf
(01)Traumatic Erotics
(11)BANG THE BEAT
(12)Across The Time(Bonus Tracks)
(13)Safe And Sound(Bonus Tracks)

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恩田陸著「Q&A」 [●BOOK]

読後、本から顔を上げて
「絵空事でよかった・・・」と、安心させてくれないところが
本当に、恐怖なのである

[text●h.mariko] 

  「これから、あなたにいくつかの質問をします。
  どんな些細な事でも結構ですので、お答えください」
たとえば、慣れない人と会話するとき、人はどのような態度を取るだろうか。
借りてきた猫のようにおとなしくなってしまう人。知らない人だからと開き直って饒舌になる人。勘ぐって、何も喋りたがらない人。
  「あなたが目撃したことだけを、伺いたいのです」
質問者の態度はあくまで紳士的で、とても柔らかい。こちらが話す言葉をていねいに聞いてくれる。
  「あなたの貴重な証言を、是非とも伺いたい」
どんどん真剣になる質問者。そのころには、何を質問者に、話しているのだろうか?

とある街の、Mというショッピングモールで起きた大きな死傷事故。
目撃者によって、食い違う証言。
たとえば、「たくさんの人が悶え苦しみ、恐ろしい情景だった」と言う人があると思えば、
「そんなに大きな事故だったの?」 と質問者に質問をする人までいる。
薄れる記憶。
当てにならない記憶。
作られる記憶。

しかし、ある回答者からの「感想」が指していると思われる「真実」とは?

会話(Q&A)だけで構成された文章なのに、そこに浮かんでくる情景はリアルである。
補助となる文章をすべて削いでいるのに、余計に生々しく情景が浮かんでくるあたり、恩田女史の文章力に改めて脱帽してしまう。

読み終わった直後の感想は、
「怖い」
本から顔を上げて、「絵空事でよかった」と、安心させてくれないところが、本当に、恐怖なのである。

これは現代社会の暗部を的確に描いたホラー小説である。

Q&A

Q&A

  • 恩田陸著
  • 幻冬舎
  • 2004/06/11
  • 単行本

Q&A (幻冬舎文庫)

Q&A

  • 恩田陸著
  • 幻冬舎(幻冬舎文庫)
  • 2007/04
  • 文庫


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SKUNK ANANSIE「WONDERLUSTRE」 [●ROCK]

UKロックの異端児、SKUNK ANANSIE再始動
ソウルフルでポジティブなエネルギーに満ちた完全復活作

[text●i.akira]

1994年にイギリスはロンドンで結成され、時代に流されないパワフルでオルタナティブなサウンドと、スキンヘッドがトレード・マークの黒人女性ボーカリストであるスキンの存在感が強烈なインパクトを与え、世界中でヒットを飛ばしながらも2001年に解散してしまったSKUNK ANANSIE。そんな彼らがソロ活動などを経て、2009年に突然再結成を果たしたのである。それから新曲を収録したベスト盤のリリースや、ツアーと並行してヨーロッパ中のロック・フェスへ多数出演するなどしてバンドとしての磨きをかけ、作り上げた11年ぶりの新作がこの『WONDERLUSTRE』である。

解散以前はファンクやダンス・ミュージックの要素も取り入れていた彼らだが、本作ではとにかくバンド・サウンドにこだわっているように思う。リフ一発で1990年代ロック好きを虜にするであろうシングル曲「My Ugly Boy」を筆頭に、神聖さすら感じさせるオープニング・ナンバー「God Loves Only You」、緩急の効いた展開が非常に彼ららしい「It Doesn’t Matter」、得意のバラード「You Saved Me」、しっとりと聴かせるクロージングの「I Will Stay But You Should Leave」など、シンプルながら自信とキャリアに裏打ちされたソウルフルでポジティブなエネルギーに満ちた楽曲が並んでいる。特に以前よりさらに伸びやかで美しい歌声になったスキンの声は神がかっている。こうしてSKUNK ANANSIEの新作を聴けるというだけで嬉しいが、これほどのクオリティの作品を作ってくれたことに、心から感謝したい。

OFFICIAL WEB SITE→ http://www.skunkanansie.net/archive.php 

Wonderlustre

Wonderlustre

  • SKUNK ANANSIE
  • V2
  • 2010/09/13
  • CD


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保坂和志著「カンバセイション・ピース」 [●BOOK]

にぎやかだがゆったりと流れる日常
そのなかに煌めく言葉、新鮮な感情が立ち上る
まるで風に乗って届いた花の香りのように
香しくも、優しげに

[text●h.mariko] 

小説とは現実ではなくて、当然ドラマチックで、ときに感動したり、考えさせられたり、そんな一貫した「テーマ」があるのがあたりまえで、それを読み手が受け取ってフムフムと考える糧にする。
小説とはそのようなものだと思っていた。
けれど、この作品で、その考えは取り払われた。

小説家である主人公が、ただ、毎日を淡々と過ごし、その生活を振り返りながら記された本である。物語、と言っていいのか迷うほど、空想の出番がない。
が、そのなかに煌めく言葉、新鮮な感情が立ち上る。まるで風に乗って届いた花の香りのように、香しくも、優しげで。

この小説の、何がそんなにおもしろいのか、何がそんなに考えさせられるのか、何がそんなに「よい」と思うのか・・・ 。言葉にしようとすると、うまく出てこない。
あえていうなら、「小説の魅力」なんて陳腐で気恥ずかしいフレーズが飛び出してしまう。
日常をリアルに書き連ねていくと、 どんなに平凡な生きざまでも不思議な耀きがあることに気づいた。

世田谷、築50年の一軒家で、主人公の小説家は妻と3匹猫と暮らし始めた。そこに友人の小さな会社が間借りし、妻の姪も転がり込む。にぎやかだがゆったりと流れる日常。そしてお盆に遊びにきたイトコたちとの昔話や同居人たちとの会話から、かつてその家で暮らした人々の記憶が立ち上る・・・。

カンバセイション・ピース

カンバセイション・ピース

  • 保坂和志著
  • 新潮社
  • 2003/07
  • 単行本

カンバセイション・ピース (新潮文庫)

カンバセイション・ピース

  • 保坂和志著
  • 新潮社(新潮文庫)
  • 2006/03
  • 文庫


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Ken Yokoyama「DEAD AT BAYAREA at 幕張メッセ」 [●LIVE REPORT]

演奏が始まるなり前方はもみくちゃ状態
モッシュするファン、ダイブしていくファン
弾ける笑顔笑顔笑顔

[text●h.mariko] 

一年生になったら ともだち100人できるかな♪
そんな歌もあるけれど、お友達、何人くらい、いますか?

横山健は、たぶん、1万人くらいの友達を持っている。筆者の勝手なイメージではあるのだけれど、多分、間違っていない。

「DEAD AT BAYAREA」と銘打って、横山健が企画開催したアリーナ・ライブ。
WEST BAY(神戸神戸国際展示場/10月3日)、EAST BAY(幕張メッセ国際展示場/10月11日)の2会場で行なったイベントである。

その、幕張メッセでのライブに行ってきた。
出演者は、
●LIVE AREA GUEST
MEANING
マキシマム ザ ホルモン
●ACOUSTIC MINI STAGE
高本和英&CHUN2(from COMEBACK MY DAUGHTERS)
SUGA(from dustbox)
YUTA(from HAWAIIAN6)
渡邊忍(from ASPARAGUS)

幕張メッセといえば、小さい会場(9〜11番ホール)であっても相当な人数を収容できるはず。チケットは当日まで売り切れていない模様だったが、さてどうなるのだろう、と冷やかしちょっと、自分がいちばん目立ってやるという目標(?)を掲げていざ、参戦。

会場内はまるで何かのフェスのような雰囲気。スペースシャワーTVのブースがあり、横山氏のフォトギャラリーがあり、ライブの模様を録画放送しているチャンネルあり、そこにいるだけでも充分に楽しめそうな雰囲気があった。
とにもかくにも、MEANING、マキシマムザホルモン、KEN YOKOYAMAを観にメインステージへ。
会場はかなりでかい。これでどれくらい埋まるのだろうと思ったら、開演時間には既に埋まっていた。恐るべし。

MEANINGは今日来るまでまったく知らないバンドだったのだが、ひと昔前のヴィジュアル系をも彷彿とさせるメロディ、リズムなどが懐かしく感じられた。まだCDを出していないバンドらしいので、これからも伸びていただきたい。※2010.11.17 ファースト・アルバム「BRAVE NEW WORLD」発売

マキシマムザホルモン。Tシャツを着ている人が多かったので、こちらをメインに観にきた人も結構いたのではないだろうか。
喋りまくり、大音響、ファンの大絶叫。たまらない空間がいきなり出来上がる。Tシャツ姿で適温くらいのフロアが一気にサウナ状態。蒸し暑いというより、暑苦しくなっていく。気合いの入ったファンに紛れてホルモン初心者の筆者もコッソリダイブ&モッシュに参加してしまった。ありがとう。

そしてKen Yokoyama/横山健。よこやまけん、というと、「クレイジーケンバンドの人?」(※横山剣氏がクレイジーケンバンドの方である)と言われたことが、何度かある。そう思うと、筆者が好きなほうの横山健氏はまだまだ知名度が低いと言えるのかもしれない。が、ここに集った人たちの期待に満ちあふれた表情、幅広い年齢層、男女を問わないファン。本当に誰からも愛されている人なのだと、改めて思った。

ライブはいつものとおり、演奏が始まるなり前方はもみくちゃ状態。モッシュするファン、ダイブしていくファン。弾ける笑顔笑顔笑顔。
横山氏のライブで、“すごいなあ”と毎回感心してしまうのは、MCでファンを気遣うところだ。「落ちそうになってたり、こけてるヤツがいたら、周りのみんなで助け合ってさ、ルールをつくりながらライブ観てよ」と。それがきっちりできているファンも偉い。これだけ皆が暴れても喧嘩や出血に出遭わないのは、こんな人についてくるファンだからこそであろうか。
ライブ=生き物であると感じる瞬間、自分自身がファンのひとりとしてライブに取り込まれたと感じるときだ。彼のライブは、のっけからそういう「感じ」がする。一体感なんて言うと古くさいが、まさにそんな感じなのだ。それぞれがてんでバラバラの方向を向いているようで、実はひとつの円のなかにいた、そんな感じがする。
涙ぐみながら演奏してくれたHi-Standard時代の曲も、また嬉しいところ。
ライブが終るとちょっぴり寂しい気分にもなったりするけれど、彼らが与えてくれるのは圧倒的な爽快感。でっかい仕事をやり遂げたとか、テストで100点取ったとか、そういうのと少し近いのかもしれない。

横山氏曰く。

「本当は幕張でやるなんて、不安とかいろいろあって、今日を迎えられたことが本当に嬉しかったんだ。もうこんなことできないだろうと思ってたけど、また来年か再来年くらいにやりたいと思っちゃった」

そのときは、また最高の笑顔で、最高のライブを観せてほしい。
チケットが売り切れた否かは知らないのだが、入場者は1万人を超えたらしい。ひとりのミュージシャンが声をかけて、輪が広がり、またひとつのライブという生き物が生まれる。来年なんて言わずに、すぐにでもやってほしいところだが、楽しみは先のほうが嬉しさが増す、とも言うし、これからに期待しよう。年齢も聴いてきた音楽もまったく違う人たちが集まったライブを、きっとまた「横山健」という括りで楽しませてくれるはず、1万人のお友達と一緒に。

PIZZA OF DEATH RECORDS WEB SITE→ http://www.pizzaofdeath.com/ 

Four

Four

  • Ken Yokoyama
  • ピザ・オブ・デス・レコーズ
  • 2010/03/10
  • CD

スコア・ブック 横山 健/Four

スコア・ブック 横山 健/Four

  • リットーミュージック出版部編
  • リットーミュージック
  • 2010/06/25
  • 楽譜


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秦基博「コントラスト」 [●POPS]

日常の一瞬一瞬を切り取ったような
カラフルで瑞々しいアルバム

[text●f.chihiro]

“鋼とガラスでできた声”とも形容される、少しハスキーで美しい歌声と類い稀なるソングライティング・センスで、デビューから間もなく注目を集めた秦 基博のファースト・フル・アルバム。インディーズ時代のストック曲を使わず、すべてが書き下ろし(シングルのタイトル曲以外)という気合いの入れようで、そこからはデビュー後のめまぐるしい変化のなかで得たもの・蓄積されたものをすべて詰め込み、“そのときできる最高のものを作りたい”という気持ちがすごく伝わってくる。

前へ前へ突き進んでいこうという気持ち・初期衝動から発せられる熱量がそのまま投影されたかのような「色彩」と「シンクロ」で幕を開け、その勢いを確かなものにするかのようにスマッシュ・ヒットしたセランド・シングル「鱗」をはめてくる。だけどやっぱり人間だから不安な気持ちもあるよと、陰を感じさせる「君とはもう出会えない」を挟んで、その感情を洗い流して気持ちを入れ替えるかのように「トレモロの降る夜」を持ってくるのだが、やっぱり夜になると、ふとセンチメンタルが顔をのぞかせるのか「Lily」で痛くて生々しい感情をさらけだし、あくる日、晴れ渡った青い空を見て前向きな気持ちになって「青い蝶」「つたえたいコトバ」とつながり、夕暮れどきがきて「僕らをつなぐもの」を経て、気怠い深夜「赤が沈む」、夜明けを迎えて「トブタメニ」。光と影を抜けて穏やかな「風景」へと。

すごくカラフル作品だと思う。楽曲そのものが発している色に素直に反応し、曲によってアレンジャーやサウンド・プロデューサーを変え、シンプルなものから凝ったアレンジのものまでが自然な流れで違和感なく並んでいる。光と影、表と裏、人間らしい感情の動きがリアルに瑞々しく描かれ、本当に見事なコントラストになっている。

OFFICIAL WEB SITE→ http://www.office-augusta.com/hata/ 

(01)色彩
(02)シンクロ
(03)鱗(うろこ)
(04)君とはもう出会えない
(05)トレモロ降る夜
(06)Lily
(07)青い蝶
(08)つたえたいコトバ
(09)僕らをつなぐもの(Contrast Ver.)
(10)赤が沈む
(11)トブタメニ
(12)風景



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矢口史靖監督「ウォーターボーイズ」 [●DVD]

2001年9月公開、第25回日本アカデミー賞優秀作品賞受賞作品

苦笑い大笑いを繰り返しながら
一緒に成長し、感動し
そして最後にはあふれる涙が止まらない・・・

[text●h.mariko]

鈴木(妻夫木聡)は、至って平凡に高校生活を終えようとする三年生。ひとりしかいない水泳部で、最後の夏の大会をビリで終わり、青春に終止符を打つ。
その後、鈴木の学校に、体育の先生が赴任する(真鍋かをり)。若くて可愛い、しかもボインときたら、生徒たちは大興奮。廃部の憂き目に遭うところだった水泳部はあっというまに大繁盛(?)。しかし、先生の専門は、シンクロナイズドスイミングであった。慌てて逃げ出す生徒たち、そのタイミングを外してしまった鈴木をはじめとする佐藤(玉木宏)、太田(三浦哲郁)、金沢(近藤公園)、早乙女(金子貴俊)。
佐藤はバスケ部だったが、中途半端に辞めたので同じ部員にも疎まれている。太田はガリガリなので、筋肉ムキムキに憧れている。カナヅチの金沢は泳げるようになりたい。早乙女は、女の子っぽいから? それぞれの動機はともかく、5人はシンクロをやる羽目に。しかも、先生は妊娠が発覚、指導者不在という大変な状態。
そこで出逢う謎のイルカ調教師(竹中直人)の厳しい指導(?)の元、彼らの夏休みはシンクロとともに過ぎてゆく。徐々に自信をつけていく彼ら。果たして文化祭での発表はなるのか?!

スポ根でもない、青春ものでもない、お涙頂戴でも、恋愛でもまったくない。が、それぞれの要素が少しずつ入っていて、その大半が笑えるシーンと言葉と間とで構成されているのが、この矢口監督の手腕である。
滅茶苦茶な設定な上、ちゃらんぽらんな生徒たちの姿に苦笑い大笑いを繰り返しながら、一緒に成長し、感動し、そして最後にはあふれる涙が止まらない(!)は、言い過ぎにしても、何とも言えない、「あの頃」を思い出させてくれるような、爽快な気分を届けてくれる。

共演者としての杉本哲太、柄本明、徳井優がものすごくいい味を出しているし、花を添える平山綾もいい。


ウォーターボーイズ (角川文庫)

ウォーターボーイズ

  • 矢口史靖著
  • 角川書店(角川文庫)
  • 2001/08
  • 文庫


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SERJ TANKIAN「IMPERFECT HARMONIES」 [●ROCK]

SYSTEM OF A DOWNのボーカリストによる2nd.ソロ・アルバム
世界へ問いかける“不完全なる調和”

[text●i.akira]

ヘヴィ・メタルのまったく新しい形を提示し、メンバー全員がアルメニア・コミュニティ出身というバック・ボーンが反映された政治や体制を痛烈に批判したメッセージで、全世界を席捲しながらも2006年に活動を休止してしまったSYSTEM OF A DOWNのボーカリストであるサージ・タンキアンのセカンド・ソロ・アルバム。

緑豊かな大自然と荒廃した近代都市が対になった意味深なジャケットと、“不完全なる調和”という意味を持つタイトルを冠した本作は、ファースト・アルバム『ELECT THE DEAD』で表現されたバラエティ豊かなロックサウンドから一転し、オーケストラ・サウンドやエレクトロを多様した壮大な世界が広がっている。今年の春ごろにリリースされたニュージーランドのオークランド・フィルハーモニア・オーケストラとのライブ共演作『ELECT THE DEAD SYMPHONY』を通過した影響が作品に色濃く表現されている。彼の最大の魅力であるあの高音を駆使した強烈かつ奇天烈なボーカルも鳴りを潜め、美しいサウンドの上を泳ぐように、ていねいに、じっくりと歌い上げている。正直、SYSTEM OF A DOWNのころの彼を期待していたファンにとっては少しものたりない部分もあるだろう。
しかし、聴くほどに味わい 深い作品でもある。作品全体を覆う荘厳さと、持ち味を使わず純粋にボーカリストとして高い表現力を持った歌声は、異様なまでの説得力を持って聴く側の心に 深く染み込んでくる。また、メロディ・メイカーとしても優れた才能を発揮しており、ロック・アルバムとしてではなく、音楽として非常に高い完成度を誇って いる。

ロックでもクラシックでもない、サージ・タンキアンという音楽家が辿りついた“不完全なる調和”は、美しきメロディと大いなる意志を持って世界に問いかけている。

OFFICIAL WEB SITE→ http://www.serjtankian.com/
OFFICIAL WEB SITE(WMJ)→ http://www.wmg.jp/artist/serjtankian/ 

インパーフェクト・ハーモニーズ

インパーフェクト・ハーモニーズ

  • サージ・タンキアン
  • ワーナーミュージック・ジャパン
  • 2010/09/22
  • CD

Imperfect Harmonies

Imperfect Harmonies

  • Serj Tankian
  • Reprise / Wea
  • 2010/09/21
  • CD


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姫野カオルコ著「整形美女」 [●BOOK]

「少しでも綺麗になりたい」がエスカレートした結果の
ふたりの行き着く運命、そして女の悲しい性を
いったいどうとらえるべきなのか
悩み始めると止まらない程テーマは深い

[text●h.mariko]

インテリジェンスな言葉選びと、アクの強いキャラクター、妙なセンスでつけられた名前、読み進めるうちにいつの間にか気にならなくなっているのが不思議。
姫野女史は、俗にいうところの「恋愛の様子」を事細かに描き、たとえばそのなかに潜むエロスだとか女の嫉妬心だとかなんだかどうでもいい(と私は感じている)ことを物語にしている人だと思い込んでいた。
この作品を読んでみて、思わず唸った。

火の玉村出身の甲斐子と阿倍子。甲斐子は完璧な肉体を持つ美女、一方、阿倍子はかわいらしい姿の女性。ふたりはそれぞれ自身の姿にコンプレックスを抱いていた。
曰く甲斐子は「男が近寄って来ない」。阿倍子は「男に逃げられる」。
火の玉村を出て、それぞれ別の人生を歩むはずのふたりが下した同じ決断、それは「整形手術」をすること。そして、それぞれのコンプレックスを克服すること。
なりたい姿になることが本当に美しくなることなのか?
人にウケることが本当にいいことなのか?
美意識を持つことは本当にいいことなのか?
美人の定義とは、いったい何なのか?
わかりづらい比喩表現を全体にちりばめながら語られる独特の文字並びは好みが分かれるところかもしれないが、これはぜひとも男性に一読頂きたい。
「少しでも綺麗になりたい」がエスカレートした結果のふたりの行き着く運命、そして女の悲しい性を、いったいどうとらえるべきなのか、悩み始めると止まらない程テーマは深い。

あの子はあの子、私は私、そう思えないと生きていけない、そんなに繊細に育ってしまったふたりの物語は、目が離せない。

OFFICIAL WEB SITE→ http://himenoshiki.com/

整形美女

整形美女

  • 姫野カオルコ著
  • 新潮社
  • 1999/01
  • 単行本

整形美女 (新潮文庫)

整形美女

  • 姫野カオルコ著
  • 新潮社(新潮文庫)
  • 2002/09
  • 文庫


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テレビアニメ「モノノ怪」 [●DVD]

2007年7月12日〜9月27日 フジテレビ系深夜アニメ全12話放送

人間の醜さが這うようにどろりと流れていて
深夜に見るにはもってこいのアニメ
美しいものには恐ろしいものが潜んでいるのです・・・

[text●u.junko]

“八百万の神々”という言葉があるように、日本人は自然のなかや生活の場に、さまざまな神や精霊をみてきた人種だそうで、それらに対して畏怖や畏敬の念があるというのも、日本人ならではの感覚らしい。実際にはそういった神々を見たことはないが、“物の怪”といった存在は、どこか実在していそうな気がしてならない。

これは、謎の男・薬売りが、「真(まこと)」と「理(ことわり)」、「形(かたち)」を見極め、物の怪と対峙する話である。簡単にいえば、物の怪が生まれた原因と事の真相、そして物の怪の正体は何かを解き明かしていくというもので、どこかミステリーのようでもあり、悲しく深いなぁと思わせる話にとにかく引き込まれる。

「化け猫」や「のっぺらぼう」といった、よく知られた物の怪が、あらゆる手段で人間に迫ってくるのだが、どれも本当に怖いのは物の怪や幽霊といった“存在”ではなく、それを生み出す人間の業や恨みの念なのである。和紙が取り込まれるなど、鮮やかな美しい色彩でサイケデリックに描かれながらも、人間の醜さが這うようにどろりと流れていて、手放しで美しいとは断言できないあたりも、アニメーションならではのよさを感じる。

美しいものには恐ろしいものが潜んでいるのです。深夜に見るにはもってこいの、秋の夜長におすすめの1本。

OFFICIAL WEB SITE→ http://www.mononoke-anime.com/ 

モノノ怪 壱之巻「座敷童子」 [DVD]

モノノ怪 壱之巻「座敷童子」

  • 角川エンタテインメント
  • DVD

モノノ怪 弐之巻海坊主 [DVD]

モノノ怪 弐之巻「海坊主」

  • 角川エンタテインメント
  • DVD

モノノ怪 参之巻 「のっぺらぼう」 [DVD]

モノノ怪 参之巻 「のっぺらぼう」

  • 角川エンタテインメント
  • DVD

モノノ怪 四之巻 「鵺」 [DVD]

モノノ怪 四之巻 「鵺」

  • 角川エンタテインメント
  • DVD

モノノ怪 伍之巻 「化猫」 [DVD]

モノノ怪 伍之巻 「化猫」

  • 角川エンタテインメント
  • DVD


モノノ怪 1 (ヤングガンガンコミックス)

モノノ怪 1

  • 怪 ~ayakashi~ 製作委員会作
  • スクウェア・エニックス (ヤングガンガンコミックス)
  • 発売日: 2008/01/25
  • コミック

モノノ怪 2 (ヤングガンガンコミックス)

モノノ怪 2

  • 怪 ~ayakashi~ 製作委員会作
  • スクウェア・エニックス(ヤングガンガンコミックス)
  • 2008/09/25
  • コミック


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フジファブリック「MUSIC」 [●ROCK]

生きた証は“音楽”によって
ずっとずっと語り継がれる

[text●O.yukii]

実のところ、これまでフジファブリックの音楽をリアルタイムであまり聴いてこなかった。
知人から昨年のクリスマス・イヴにヴォーカルの志村氏が、29歳にして急逝したと耳にしてショックを受けた。

そして月日は巡り、テレビドラマ『モテキ』のオープニングテーマ「夜明けのBEAT」でひと目惚れならぬ、ひと聴き惚れしてしまった。
その曲が収録されているアルバムが『MUSIC』だ。

アルバムについて綴るのは、彼らのことをそれほど知らない身として何だか申し訳ない気がした。
なので敢えて、今作の制作過程などを調べたり読んだりしていない。

メンバー4人の歌と演奏と歌詞。
もう、それだけで十分だった。

ほとばしる疾走感。少々ひねくれた音階。まっすぐに紡ぎだされる言葉。

このバンドにしか出せない熱量がこもっていて、
これぞフジファブリックの魅力なのだと感じた。

またサポートによる東京事変・刄田綴色のドラムが、しびれる恰好よさで楽曲を引きしめているのも聴きどころ。

全10曲収録されているうち、特にオススメなのが下記の4曲だ。

M-2 デジタル色を織り交ぜたダンサブルナンバー「夜明けのBEAT」は、間奏のギターが狂気的。
M-5 ピアノの旋律がせつなさに拍車をかけるミディアム・バラード「君は僕じゃないのに」。
M-8 ヒリヒリするような高速チューン「パンチドランカー」。
M-10 やさしさと弱さに触れて、自然と涙があふれてくる「眠れぬ夜」は日本ロック史に残る名曲といえる。

彼らから「君にとって大切なものってなんだろう?」って問いかけられたようだ。
私はきっと、「人とのつながり」と答えるだろう。

音楽に生身の温もりは宿る。目に見えない気持ちは音楽によって伝わる。
久々にそう思わせてくれた1枚。

「志村正彦」。
惜しい人を亡くしたなんてことは言わない。
こんな素晴らしい音楽を届けてくれて、ありがとう。

あなたの歌は、いつでも私たちの心に生き続ける。
CDに吹き込まれた『音楽』が存在し続ける限り、ずっと。

OFFICIAL WEB SITE→ http://www.fujifabric.com/ 

MUSIC

MUSIC

  • フジファブリック
  • SMAR
  • 2010/07/28
  • CD


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岩井俊二著「ウォーレスの人魚」 [●BOOK]

海を通じて
ゆるりと繋がっていく
オーストラリア、日本、香港、北極
母なる海という言葉が似合う
雄大な物語

[text●h.mariko]

岩井俊二氏といえば、やはり映画監督。
だが、「Love Letter」や「スワロウテイル 」「リリイ・シュシュのすべて」など自身の映画を小説として発表している作家でもある。
そしてこの「ウォーレスの人魚」。

人魚、というと、上半身は美しい乙女、下半身が魚の姿、歌で人を惑わすともいわれる想像上の生物である。童話などのテーマや主人公になっているとおり、美しさや神秘的な雰囲気が似合う存在でもある。
が、ここに描かれる人魚は、まったく違う。
小説の扉を開けば、その「違い」にはすぐに気がついて頂けるだろう。奇妙な内臓のような写真、ウォーレスの肖像画、妙に「生々しい」のである。
それは、“真実かそうではないかという虚構の世界を描く小説というもの”を理解したつもりでも、妙に生々しい、のである。
海洋学者のアルフレッド・Rウォーレスが唱えた「ホモ・アクアリウス説」。進化論で有名な、ダーウィンの「種の起原」をも覆す、大発見。曰く、人は猿からの進化ではない、海から陸に上がったのだという。

海原密は、両親がいないことをのぞけば、ごく普通に暮らしている大学生。
その密が、海難事故から奇跡の生還を遂げるところから、物語は始まる。
一方で、オーストラリアでイルカの研究をするライアン・ノリスたちが、奇妙な現象に出合う。かつて、アジアでウォーレスが出合ったという、「人魚のようなもの」。

物語は海を通じて、ゆるりと繋がっていく。
オーストラリアから日本、香港、そして北極。
母なる海という言葉が似合う、雄大な物語である。

余談だが、人間と猿の大きな違いとして、体毛の有無があげられる。
何故毛むくじゃらの猿から、突如人間のような、体毛の薄い生物に進化したのか?
「暖をとることを覚えた」「木に登る必要が無くなった」などと退化する理由はいくつか挙げられているが、実際のところ猿と人間を繋ぐ決定的な「原人」は発見されていないそうだ。
その一方、「ナギサ原人」と呼ばれる、外的から身を守るために海に入って暮らしていた原人は存在するらしい。海で暮らすうち、体毛は必要なくなった。そして、子どもを背負うよりも、前に抱いた方が安定することから、人間は自然と前に子どもを抱くようになった、という、説得力があるのかないのか解らない説もあるらしい。

これらの説のなかに、もしも、「人魚」が入ったら?
進化の過程はいったいどうなるのだろうか。

この「ウォーレスの人魚」は、石井竜也が監督した映画『ACRI』(1996年公開)の原作として書き出したものだったが、完全には間に合わず、映画の公開に1年遅れて小説として出版されたもの。
岩井氏自身での映像化は、まだなされていない。

ウォーレスの人魚

ウォーレスの人魚

  • 岩井俊二著
  • 角川書店
  • 1997/09
  • 単行本

ウォーレスの人魚 (角川文庫)

ウォーレスの人魚

  • 岩井俊二著
  • 角川書店(角川文庫)
  • 2000/10
  • 文庫

ACRI デジタルリマスター【初回生産限定価格】 [DVD]

ACRI

  • ポニーキャニオン
  • 監督・原案 石井竜也
    原作 岩井俊二
    ■Cast
    藤竜也/佐古田洋三
    浅野忠信/海原密
    江口洋介/羽岡宏平
    吉野公佳/藤沢亜久里
    DVD


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FARIDA'S CAFE「Abuzeek」 [●ROCK]

音楽的カテゴリーを飛び越え
自由でハイセンスなサウンド
聴かせてくれる4人組

[text●f.chihiro]

REI(Vo./G./Strings)、ZAKI(Ds./ Per.)、MASA(B.)、ANDRE(G.) の4人からなるバンドFARIDA'S CAFE(2006年から活動休止中)の4th.アルバム
それぞれ異なる生まれ故郷や音楽的ルーツを持つ彼らは、逆にそれを楽しむかのように、それぞれのオリジナリティをうまく調和させひとつのサウンドを生み出すことで、“ロック”とか“ポップ”とか単純にカテゴライズすることのできない、自由でハイセンスな音楽を聴かせてくれる。
本作のタイトル「Abuzeek」 とはアンドレの父親のあだ名で、彼にインスパイアされて生まれた作品なのだとか。前作「GOLD」に比べて、よりアングラ色が強く骨太な楽曲が多く並ぶ。余計なものをそぎ落とした“狙った荒削りサウンド”が男性的な強さを表現している。
完全モノラル音源で収録されている「Low」(M-2)からはこだわりが感じられるし、インストであるタイトル・トラック(M-5)のアラビックなギターリフとジャンベ(太鼓の一種)の絡みも印象的。ロードムービーのような匂いがする「Pull Me Out」(M-6)の重たい感じも個人的にはかなりお気に入りだし、最後を飾るポップで可愛らしい“ファリダ的ダンスナンバー”「Song And Dance」も新鮮。
そして相変わらず美しいREIの歌声は、川のせせらぎのように優しくて心にすっと入ってきて、気づけばエンドレス・リピート。クセになる1枚!

OFFICIAL WEB SITE→ http://www.faridascafe.com/ 

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Abuzeek

Abuzeek


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京極夏彦著「姑獲鳥の夏(うぶめのなつ)」 [●BOOK]

京極夏彦 百鬼夜行シリーズ第1弾作品

この世には 
不思議なことなど何もないのだよ
いよいよ、“百鬼夜行”のはじまり

[text●h.mariko]

1994年。時代はデジタルに進みつつあり、翌年にはウィンドウズが破格の売れ行きを見せる、そんなころ。
講談社で、とてつもない小説が産声を上げた。
京極夏彦の登場である。

この小説を読んで、著者のその後は大きく転換をしたといっても過言でないほどの影響を受けたのだが、まずこの京極氏の小説、分厚い。とてつもなく。それゆえに敬遠されがちのようだが、最近はそれを配慮してか、上中下巻と分けられた文庫本出版されているので、分厚さが気になる方にはそちらをお勧めしたい。

まず、京極氏の文章に対するこだわりのすさまじさが、とてつもない。
「文庫版として出版するにあたり、本文レイアウトに合わせて一部変更がなされておりますが、ストーリーなどは変わっておりません」
という謎の文言が巻末に記されているのだが、これは「文脈の途切れ方」や「ページを跨いで台詞が繋がることを嫌う」京極氏のこだわりゆえ、本の体裁が変わるたびにレイアウトをし直しているという、途方もないことの断り文句なのである。ここまで文章そのものにこだわる小説家を、ほかに知らない。

そしていよいよ、「姑獲鳥の夏」、である。

時代は、戦後の復興期である。
夏である。
まだ雑多とした東京、現在よりもまだ猥雑で、中途半端で、活気があったころの東京が舞台である。

ある産院で、妙な噂が立つ。「二十箇月子供を身籠っている女がいる」と。
「その腹のなかは獣か妖怪か」「産院からさらった赤ん坊から絞った油で育つ腹」などなど。
小説家・関口巽のもとに、噂が届く。奇妙な胸騒ぎとともに、友人の中禅寺秋彦・通称京極堂を訪れるところから、物語は始まる。
この分厚い小説のほとんどは、京極堂の傾けるうんちくにあるといってもよい。が、ここで倦まずに読み通してほしい。
推理小説としても楽しめるゆえ、そのネタバレを防ぐために多くは語るまいが、ひとつだけ言わせて頂きたい。
これは、タイトルにあるような妖怪が跳梁跋扈し、それを調伏する、そういったお化け退治の物語ではまったくない。むしろ、そこからは正反対とよんでもいいほど、理路整然と語られる「超自然」についてがテーマと言えよう。

過去、呪い(まじない)や八百の神への信仰があたりまえだった時代。我々の祖先は、「言葉で片づけられない現象」に「妖怪」という「名」をつけた。それは、ときに崇められ、ときに畏れられた。その妖怪は、科学の発達にともなう種々の研究、発見により消えていったが、そこに残った偏見や差別視は拭えない。その哀しみと、妖怪、そして人間の性を混同させた小説が、京極氏の紡ぐ物語である。
一読しただけではどこに着目すべきかわからないかもしれない。けれど、二読、三読、と読み進めていくと、きっと傍に京極堂が現われ、物語を導きといてくれるはずだ。
そうしてシリーズ読破へと取り憑かれてしまうはずだ・・・。

姑獲鳥の夏 (KODANSHA NOVELS)

姑獲鳥の夏

  • 京極夏彦著
  • 講談社(KODANSHA NOVELS)
  • 1994/08/31
  • 新書

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

文庫版 姑獲鳥の夏

  • 京極夏彦著
  • 講談社(講談社文庫)
  • 1998/09/14
  • 文庫

2005年7月16日公開作品
■cast
堤真一/中禅寺秋彦(京極堂)
永瀬正敏/関口巽 
阿部寛/榎木津礼二郎 
宮迫博之/木場修太郎 
田中麗奈/中禅寺敦子 
原田知世/久遠寺涼子、梗子(二役) 
京極夏彦/水木しげる(傷痍軍人)


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企画展「スウィンギン・ロンドン 50’s-60’s」 [●ART/EXHIBITION]

2010.07.10〜 09.12埼玉県立美術館
「スウィンギン・ロンドン 50’s-60’s 
ミニスカート・ロック・ベズパ-狂騒のポップカルチャー」


型破りでいて創造的
簡素なのにとびきり洒落ていて、ポップであってセクシー、イカれた華々しさ
自由で興奮と熱気に満ちていたスウィンギン・ロンドン

[text●t.minami]

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今年の夏は暑かった。今年は9月が半ばを過ぎても、しつこい暑さとジメジメとした湿気がなかなか去ってくれなかった。2010年夏のガリガ●君の総売り上げはどうやらスゴいことになっていたようだ。プール付き遊園地の屋外プールも今年は例年よりも長い間営業しており、9月になっても送迎バスは連日大混雑。この不景気のなか、一部の業界の方々は猛暑黒字で嬉しい悲鳴をあげていたのではないだろうか。
なんて思っていた矢先に突然暑さが過ぎ去り、肌寒~い秋がやってきた。おまけに激しい雷雨つきで・・・。そんな今年の残暑のせいで休みの日はコンビニへ行くのも億劫になっていた私が先日重い足をひきずり埼玉の北浦和まで行ってきたのは、埼玉県立近代美術館で行なわれていた企画展「スウィンギン・ロンドン 50’s-60’s ミニスカート・ロック・ベズパ-狂騒のポップカルチャー」を鑑賞するため。私のイギリス好き、ロンドン好きは周知のとおりなのだが、なかでも昔から60年代スウィンギン・ロンドンの音楽、ファッション、アートには特に惹かれるものがあり、この展覧会の情報を耳にしたときから必ず行こうと心に決めて楽しみにしていたのだ。仕事の都合でなかなか行く機会を作ることができず、とうとう最終日になってしまったこの日、展覧会最終日につきものの混雑を少し恐れていたが、緑豊かで気持ちのよい北浦和公園に佇む埼玉県立近代美術館(通称MOMA)は、都心の美術館に比べると規模は小さいけれど人の量も少なく、ゆっくりと本展を観て回ることができた。

第二次世界大戦後、急速に経済が復興した1950年代~60年代のイギリス・ロンドンでは、それまで長く築き上げられた大英帝国が過去の栄光となり、若者を中心に新しい文化が花開いていった。街のメインストリートには若者たちが走らせるベスパやモッズ・スタイルやミニスカートで身を固めた若者たちで溢れかえり、音楽、ファッション、アート、建築といったあらゆるカルチャー・シーンの中心にいたのはつねに、斬新で鋭い感覚を持った若者たちだったのである。型破りでいて創造的、簡素なのにとびきり洒落ていて、ポップであってセクシー。街もそこにいる人々もみんなスウィングしていた。

展示室に入りまず目に飛び込んできたのは、スウィンギン・ロンドンを代表する乗り物であるベスパとフロアの中央にある真っ赤なミニ。そして、それを取り囲むように展示されるポケット・トランジスタ・ラジオや、タイプライターといった当時生み出されたアイテムの数々。別のフロアに移ると、60年代のファッションを語る上では欠かせないブランド、マリー・クワントのミニスカートやワンピースドレスをはじめとした当時流行したファッションスタイルが展示され、それと共に60年代を象徴するインテリア・デザインなども紹介されていた。そして本展の見どころでもあったのが、世界三大ギタリストのひとり、ジミー・ペイジの日本初公開となる愛蔵の品の数々。ヤード・バーズ~レッド・ツェッペリン期のステージ衣装や実際に愛用したエレキギターが出品されていたのだが、ド派手な上下ピンクのヴェルヴェットスーツにサイケ柄のブーツ、幾何学的なデザインのギター・・・と、こんなところからもスウィンギン・ロンドンのイカれた華々しさが感じられた。
展覧会自体は小さいながらも見応え十分でとても楽しめたのだけれど、鑑賞後しばらく経つとなんともいえない気持ちでモヤモヤとした。自由で興奮と熱気に満ちていたスウィンギン・ロンドン。この時代の人々はいったいどんなことを考えていたのだろうか。“今”だけを楽しんでいたのだろうか。それとも前を向いて明るい未来を見据えていたのだろうか。あらゆるところで“エコ”の文字が飛び交い、無駄という無駄がどんどん排除され、物の価値が次第に薄れてきている今の時代、すべてが便利になればいいってもんじゃないし、すべてが高品質になればいいってもんでもないし、地球に優しくするってことばかりがすべてじゃないんじゃないのかな、なんてことを考えながら、こんな華々しい時代が訪れることはもうおそらくないのだろうとちょっと物悲しくなった。

■スウィンギン・ロンドン 50's-60's 2010年度開催館
2010.05.22〜07.04 福島/郡山市立美術館
[スウィンギン・ロンドン 50's-60's―ビートルズたちが輝いていた時代]
2010.07.10〜09.12 埼玉/埼玉県立近代美術館
[スウィンギン・ロンドン 50's-60's―ミニスカート・ロック・ベズパ-狂騒のポップカルチャー]
2011.01.29〜03.21 愛知/岡崎市美術博物館
[スウィンギン・ロンドン 50's-60's―ビートルズとその時代]

企画協力■ブレーントラスト→ http://www.braintrust-art.com/
展覧会情報→ http://www.braintrust-art.com/ja/exh/2010/london.html

スウィンギン・ロンドン 50’s-60’s

スウィンギン・ロンドン 50’s-60’s

  • スウィンギン・ロンドン50's-60's 出版委員会・編
  • 梧桐書院
  • 2010/06/01
  • 単行本(ソフトカバー)


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岩井俊二監督作品「スワロウテイル」 [●DVD]

1996年9月公開作品

夢はありますか?
その夢の大きさは、どれくらいですか?
どれくらいで、掴めそうですか?
どれくらいの、お金が、必要ですか?

[text●h.mariko]

夢と金銭とは、切り離して語られることが多い。
が、現実はそうもいかない。夢を見ることにも、金がかかる・・・。

この映画の舞台である「円都=イエンタウン」も、同じ。
むしろ、ここに住まう人々は、より金にシビアで、金に貪欲で、金以外の価値を見いだすのが難しいというほど、金に縛られている。
そして、一攫千金を打ち立てれば、自分の境遇すべてが変えられることを、知っている。それ故に、イエン=円の国に押し寄せてくる。
次々に不法入国を繰り返す他国の人々を「円の盗人」ともじることで、彼らは円盗=イエンタウンと呼ばれた。

とある娼婦の娘(伊藤歩)が、母親をうしなうところから始まる。
娘に名はない。むしろ、その存在すらが希薄であった。
母をうしなった娘は、母の競合娼婦たちが、母の貯め込んでいた金をむしり取っていくところをぼうぜんと眺め、無責任な大人たちにたらい回しにされる。
ほかの娼婦、グリコ(CHARA)は、放っておけないこの無口な娘にアゲハという名をつけ、そばに置くことにする。
グリコは娼婦であり、歌がうまく、皆のアイドルでもある。
雨が降れば傘を売り、車が壊れればタイヤを替える、何でも屋の「青空」で一攫千金を狙うフェイホン(三上博史)も、彼女に魅了されるひとり。彼女の歌う「マイウェイ」が好き。「青空」の主人で謎の存在のラン(渡部篤郎)もまんざらでないようす。
“夢は夢のままでもいい”、イエンタウンに住み着き、そんなふうに思っているような彼らに、あるときとんでもないものが手に入る。グリコが取った客が「事故」で死に、その腹から出てきた「テープ」に隠された謎が解けたとき、彼らは「大金持ち」になった。同時に、「テープ」を探していたマフィアのリョウ・リャンキ(江口洋介)からも、リョウ・リャンキを追っていた警察からも、彼らはマークされることになる・・・。

崩れてゆく、何か。
金がすべてと言い切っていたはずの彼らが持っていたもの、持たなかったもの。
金が持つ魔力に押し殺された人々、それに耐えようとした人々、流されない人々、さまざまである。
確かに、無一文では夢も追えない、世知辛いこの世の中。
何も持たないことは幸せか。金満は幸せか。
母国を捨て、金を求めることは幸せか。
幸せってなに?
そもそも、幸せに、定義など必要なのか?

キャラクターたちの魅力はもちろん、中国語英語日本語が自在に飛び交う国籍不明な世界、岩井俊二特有の、光と光との合間を美しく撮り上げた映像が美しく輝く。

“いちばん大切なものはコレ!”と、胸に手を当てて誓うことのできる人間は果たしてどれくらいいるのだろうと、この映画を観るたびに、悩んでしまう。

スワロウテイル [DVD]

スワロウテイル

  • ポニーキャニオン
  • DVD

スワロウテイル 特別版 [DVD]

スワロウテイル 特別版

  • ポニーキャニオン
  • DVD


スワロウテイル

スワロウテイル

  • 岩井俊二著
  • 角川書店
  • 1996/07
  • 単行本

スワロウテイル (角川文庫)

スワロウテイル

  • 岩井俊二著
  • 角川書店(角川文庫)
  • 1999/03
  • 文庫


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GASTUNK「DEADMAN’S FAC」 [●ROCK]

伝説のバンドの22年ぶりの新譜
それぞれが圧倒的個性を放ち、どれもが異形であり
明確すぎるほどにGASTUNK

[text●i.akira]

GASTUNK。1983年に結成され、解散までわずか5年ほどの活動ながら、ハードコア・パンクを主体としながらもカテゴライズ不可能な、GASTUNKとしか呼びようのない独自の音楽スタイルを貫き、多くの人々の脳裏にその音と姿を焼きつけ、数え切れないほどのフォロワーを生み出した文字どおり伝説のバンドである。
そんな彼らが今年1月に突然、「ARISE AGAIN TOUR_2010」と銘打ったツアーを発表した。これまでも何度かの復活ライブは行なっていたが、全国を回ることなど夢にも思わなかった。そしてさらなる軌跡の贈り物が届いた。それが22年ぶりの新作となるこの「DEADMAN’S FACE」である。

冒頭からTATSUの凶暴なギターが新章のはじまりを告げ、歌詞にもあるとおり「重低音の鎖が巻きつく」ような重々しさと、凄みを増したBAKIの声とダークな詩世界が強烈な「DEADMAN’S FACE」、闇の隙間から聴こえてくるような、往年の彼らを彷彿とさせるミドル・ナンバー「COLD BLOOD」、レゲエを取り入れ、ポジティブなソウルを感じさせる「No more trouble」。3曲入りのシングルではあるが、個々が圧倒的個性を放ち、どれもが異形であり、明確すぎるほどにGASTUNKという音楽を表わしているすばらしい作品だ。

現在彼らは「ARISE AGAIN TOUR “DEEP”」と題されたツアー開催を発表し、さらに11月17日には先のツアーの模様を2枚のDVDに収録した「ARISE AGAIN TOUR_2010」のリリースも決定している。その先にあるものは彼らにしかわからないが、さらなる奇跡を期待したいと思う。

■GASTUNK
BAKI(Vo.)
BABY(B.)
TATSU(G.)
PAZZ/Shigeru K(Ds.)


OFFICIAL WEB SITE→ http://gastunk.com/ 

DEADMAN'S FACE

DEADMAN'S FACE




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