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フランシス・ベーコン展「BACON」 [●ART/EXHIBITION]

2013.03.08ー2013.05.26 東京国立近代美術館
2013.06.08ー2013.09.01 豊田市美術館


「灰色の中の頭部」に描かれた顔の部分で
映り込んだ自分がにたりと笑う

[text●h.mariko]

抽象画、といえば、何を思い浮かべるだろうか。
安直だが、私はパブロ・ピカソである。

「泣く女」や「ゲルニカ」を美術の教科書で目にしたとき、「なんだこりゃ?」というのが感想であった。一度精巧につくられたデッサンを崩す意味が、当時の私には理解及ばぬ行為だったのである。
芸術的価値、とか、世界的権威、とかいう言葉に押されて、ふーん、そんなに凄いのか、と思っているだけだった。
いまも、あまり、その気持ちは変わらないのだ。見たままをそのままに描くことでいいのではなかろうかと思ってしまう芸術音痴なのである。


そこで、フランシス・ベーコンである。
名前だけは知っていた。どんな絵画を遺した人なのかは知らなかった。
毎日読む新聞で、ふと彼の絵が目に入った。
あ、観に行かなきゃ、と思った。そうして向かった絵画展なのである。

荒天の予報だったため、日曜といえども人の入りは大したことがなかった。それが幸いしたのかもしれない。
彼は、自身の絵画は「金色の額をはめ、ガラス板で飾る」ことを望んだらしい。この絵画展に寄せられた絵も、購入者や美術館が彼の意志を継ぎ、そのとおりの額装がされているものが多かった。

一見して、思ったこと、それは「違和感」。
色使いのせいもあると思う、大胆にオレンジを塗りたくったと思えば人の顔はビリジアン。そんなものをのっけから見せられては、私のような芸術音痴はやっぱり違和感を感じるのだろう、と思った。

が、なぜか、のっけから、引き込まれた。
彼の作品は「習作」と自らが名づけているものが多い。タイトルはおざなりな感じさえしてきて、言葉よりも絵画の人なのだな、と改めて感じる。
「人体による習作」から「肖像のための習作」へと続き、油絵ながら透明感の在る不可思議な絵をじろじろと眺めた。
「灰色の中の頭部(Head in Grey)」あたりにきたとき、違和感の理由がやっとわかった。

絵画にガラス板。
これ、異様な世界をつくりだすのだ。

通常(と呼べる程私は絵画展に明るくないのだが)、絵画は額装をするが絵そのものが外からの光を受けてしまうので、ガラス板は使わないのではないか。
以前に行った絵画展では、額装こそされているものの、絵画そのものを覆うものはなく、光を受けて油絵の具が凹凸を織りなしているのがみえたものだ。
それが、このガラス板をはめてみると、どうだ。
私が、絵のなかに映り込んでいるのだ。
「灰色の中の頭部」に描かれた男性(と思しき人物)とくっきりと輪郭が重なった自分を見たとき、薄ら寒くなった。
絵のなかに描かれた顔の部分で、自分がにたりと笑う。なかなかない経験である。

私の大好きな童謡に、“メトロポリタンミュージアムへ行き最後、「大好きな絵のなかに閉じ込められた」”という歌詞で終わる曲があるのだが、まさにその心境。閉じ込められたというか重なってしまったというか、歌の主人公(?)と唯一違うのは自ら閉じ込められることを願ったことと、いつのまにか取り込まれてぞっとしているという心境の差か。
それ以降、映り込む自分の姿の滑稽さを楽しむ術を覚えた。
わざと、描かれた人物に重なるようにして立ってみるのだ。
相当に身長が高い人でなければ、少し離れたところに立ち、微調整すれば大抵は「絵のなかに入る」ことができると思う。これが、「違和感」の正体だ。絵と現実との線引きをものすごく曖昧にするガラス板という存在に、私はすっかり翻弄されてしまった。

「スフィンクス習作」のような人物以外の絵も興味深く、絵の透明感が増すよう。
会場では試作的な試みもなされており、彼の絵を「体現」している映像なるものが流れていた。それを観たあと、また最初に戻って、絵を見てほしい、というのが出展者の意図であった。
なるほど、人間の肉体をさまざまな角度からとらえて描き出した作品に、奥行きが見えるようだ。

抽象がなんて、と首を竦めていたはずの私が、いつの間にか絵の前に直立不動して、にやにやしながら絵を眺めていたこの展覧会。
ガラス板の感じ方は人それぞれだとは思う。
まずは、会場で、感じてみてほしい。

おなじチケットで入れた「MOMAT コレクション」もこれまた興味深かったのだが、その話は別の機会に。

OFFICIAL WEB SITE→ http://bacon.exhn.jp/
東京国立現代美術館→ http://www.momat.go.jp/
豊田市美術館→ http://www.museum.toyota.aichi.jp/

芸術新潮 2013年 04月号 [雑誌]

芸術新潮 2013年 04月号

  • 特集「20世紀美術のカリスマ
    フランシス・ベーコンを解剖する」
  • 新潮社
  • 2013/03/25
  • 雑誌

美術手帖 2013年 03月号 [雑誌]

美術手帖 2013年 03月号

  • 特集「フランシス・ベーコン」
  • 美術出版
  • 2013/02/18
  • 雑誌

フランシス・ベーコン BACON

フランシス・ベーコン BACON

  • ルイジ・フィカッチ著
  • タッシェン・ジャパン
  • 2007/04/15
  • 単行本(ソフトカバー)





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